カルチャー

2026年の指針になってくれそうな3冊。

1月はこんな本を読もうかな。

2026年1月1日

text: Keisuke Kagiwada

『ルー・リード 俺の太極拳』
ルー・リード、ローリー・アンダーソン (著) 吉田俊太郎(訳)

 晩年のルー・リードが太極拳に入れ込んでいたことは、よく知られている。彼自身のエッセイや日記などを通して、その全貌に迫ったのがこちら。太極拳なんておじいさんおばあさんが早朝の公園で健康のためにしていることだと高を括るなかれ。ルーは言う。「太極拳は、見えない力、そう、宇宙の力とつながる手段なんだ。最良のエネルギーが自分の中に流れ込み、やがて心と体が“見えない力”そのものになっていく」。2026年は太極拳だ! ¥4,180/国書刊行会

『マッドヴィランの嘘と真実
MFドゥームとマッドリブのアンダーグラウンド・ヒップホップ伝説』
ウィル・ヘイグル (著) 吉田雅史、梶本麻須久(訳)

 無骨な鉄仮面がトレードマークの奇才ラッパーMF DOOMと、USアングラヒップホップ界を代表するビートメイカーのマッドリブによる、伝説的コラボ作『Madvillainy』。本書が虚実ないまぜ(!)に肉迫するのは、その舞台裏に他ならない。宇宙のように広大で謎を秘めたこの音楽はいかにして誕生したのか。オルターエゴラッパーの先駆(我らがタイラー・ザ・クリエイターにも霊感を与えているに違いない)でもあるMF DOOMの生き様にも触れられる、超アメイジングな一冊だ。¥2,640/DU BOOKS

『赤く染まる木々』
パーシヴァル・エヴェレット (著) 上野元美 (訳)

 パーシヴァル・エヴェレットという名前にピンときたら、あなたは外国文学通に違いない。そう、2025年に翻訳出版され、話題騒然となった小説『ジェイムズ』の著者だ。2019年の架空の殺人事件を発端に、1955年の実際に起きたエメット・ティル殺害事件との関係性を示唆しながら、アメリカ社会における黒人差別の残酷さを浮き彫りにするこの物語は、レイシズムが蔓延る今の日本でこそ読まれるべき。¥3,960/早川書房