TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
CULTURE

[#4] シャーロック・ホームズ・ラブストーリー

2021.08.05(Thu)

こよなくシャーロック・ホームズを愛し、遂にシャーロック・ホームズ物語60篇全篇翻訳の夢を叶えた父が死んでしまってから、今年で十一年目の夏が来ます。

母や三人の姉たちとは、グラナダ版の「シャーロック・ホームズ」のジェレミー・ブレッドもいいし、BBC版の「シャーロック」のベネディクト・カンバーバッチもいいよね、と時々LINEで時々話します。

昨年は、コロナウィルスのために父の命日に家族で集まることもできませんでした。

いまやロンドンも、遥か彼方のことのように思えます。

けれど、いつも私の胸には、シャーロック・ホームズが、幼い頃私が居た練馬区ヴィクトリア朝のボロ家の炬燵が、父が、母が、姉たちの姿があるのです。

シャーロック・ホームズよ、父よ、失われてしまった愛するものたちよ、永遠に。

プロフィール

小林エリカ

こばやし・えりか|1978年、東京都生まれ。作家・マンガ家。練馬区ヴィクトリア町育ち。主な著書に『マダム・キュリーと朝食を』、『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(ともに集英社)、『光の子ども1、2、3』(リトルモア)等がある。2021年7月にはシャーロキアンの父を書いた『最後の挨拶His Last Bow』(講談社)を発売。
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