カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.33

蒸留器

2024年3月3日

机の上のサイエンス。


text & edit: Shogo Kawabata
photo: Akira Yamaguchi
2024年3月 923号初出

実験器具の雰囲気をまとう家庭用蒸留器。

リカロマhomeSP
本体や冷却器、循環ポンプなどがセットに。あとは氷水を入れる容器や、抽出した液体を入れる容器、IHヒーターを用意するだけで、家庭で蒸留が楽しめる。「リカロマhomeSP」¥126,500(リカシツ☎03·3641·8891)

 混合物を加熱することで中の成分を蒸発させ、その蒸気を冷やして再度液体に戻すことで成分を分離する蒸留器。医薬品や蒸留酒の製造などにも使われている。この蒸留作業を家庭でも行えるようにしたものが、このガラス蒸留器「リカロマhomeSP」だ。本体に成分を抽出したいハーブなどと水を入れIHヒーターで熱して水蒸気を発生させることで、アロマウォーターを抽出することができる。熱せられた蒸気は上部の冷却器に送られ、ここは外部容器からポンプで循環している氷で冷やされた冷水で満たされており、中を通る「蛇管」と呼ばれる螺旋状のガラス管を蒸気が通ることで、冷やされて液体となるのだ。約400㎖のアロマウォーターを50分程度で採取できる。理化学用の硼珪酸ガラスでできており、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、匂い移りもない。普段は理化学研究用のガラス製品を作るガラス職人が手作りしているハンドメイド蒸留器なのだ。