TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#4】答えはダンス

執筆:松本アタル(ハシリコミーズ)

2026年9月1日

松本アタル


text & illustration: Ataru Matsumoto
edit: Nozomi Hasegawa

早いものでこの連載コラムもこれで最後になってしまった。
4つの連載では書ききれない日産バネットとの思い出はまだまだ沢山ある。車内でアイスコーヒーを飲むためにかわいい魔法瓶を4つも買ってしまったこと、海を見たことがない実家の愛犬ニコを乗せて森戸海岸へドライブをしたこと、ハードオフで1600円のドラムセットを買ったこと、スライの写真を車内に飾って積み込みから意識を高めるようにしたこと。すべてはまだ同じ歯磨き粉を使っているほど最近の出来事である。

少し前の自分にはまるで想像もできないようなことが、意外とあっさりと起きてしまう。そして起きた頃の自分は意外にすんなりとその事柄を受け入れてしまう。また皮肉にもその時はその時の悩みに頭を膨らませて、待ち望んでいた幸せを抱きしめられなかったりもする。
思い返せば、かつて想像していた“車を持てるようになった自分”はこんな自分ではなかった。未だ週に4 本は必ずスーパーBIG チョコを食べているし、叫びたくなるような恥ずかしい失敗もたくさんしているし、まだまだどうにもならないような毎日が続いている。それでも僕は今がとても楽しい。せっかくインターネットという場所に自分の言葉を綴れるタイミングなので言わせていただく。僕は幸せである。かつての親友が落ち込んだ僕に投げかけたものは、寄り添う言葉、励ましの言葉ではなく、イタズラな笑みと共に放たれた握りっ屁だった。

音楽を通して何ができるか、深刻ぶる暇なんて僕にはない。かつての親友ならきっと答えを持っているはず。そういえば彼はまだバネットに乗っていない。

プロフィール

松本アタル

まつもと・あたる|2001年、東京都生まれ。’19年よりバンド「ハシリコミーズ」として活動。楽曲制作からアートワークのディレクションまで、セルフプロデュースで行なっている。8月9日より全国5か所を巡るツアー「Is it Music? Tour」を開催。

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https://www.hasirikomis.com