カルチャー

涼しい部屋で読後の余韻に浸りたい3冊。

7月はこんな本を読もうかな。

2025年7月1日

text: Keisuke Kagiwada

『焼死体たちの革命の夜』
中原昌也(著)

 脱線に次ぐ脱線によって物語られるアンチ物語の数々に、中原節に慣れてない人は戸惑うかもしれない。だけど、笑っていいんだよ、ふざけているんだから。「悲しみの遺言状」における「最近〝食べられる大人のおもちゃ〟のレシピ本を、大手出版社がこぞって出版して、どれもみなベストセラーの上位を数ヶ月にわたって独占した。」とか、こちらは久しぶりに活字を読んで、電車の中で吹き出してしまいました。¥3,256/河出書房新社

『「書くこと」の哲学 ことばの再履修』
佐々木敦(著)

 批評家として30年以上のキャリアを持つ著者が、「書くこと」それ自体をテーマにした新書。理論編と実践編の二部構成で、全16回の講義と3つの補講を通して語られるのは、「書く」ってつまりはどういうことか? 「日本語を「外国語」として学び直すこと」から幕を開け、補講二「外国語について」で「いや、ある意味で「日本語で書くこと」は、ただそれだけで、一種の「翻訳」と言っていいのかもしれません」と綴られる本書は、日本語論としても読めるかもしれない。¥1,210/講談社

『スティーヴ・ライヒ対談集』
スティーヴ・ライヒ(著)、大西穣(訳)

 ミニマル・ミュージックの祖と言っても過言じゃないライヒが、親交のあるアーティストらと対談した記録。表紙に刻まれた、「自分がやっていることを何と呼ぶかと聞かれたら「音楽 」と呼ぶほかありません」という言葉から既にグッとこない人はいるのだろうか。対談相手はハードコアな人が多く、日本でも知られているのはジョニー・グリーンウッドくらいかもしれないが、だからこそ読んでまだ見ぬ世界に足を踏み入れるべし。¥5,610/左右社