トリップ
バンコクで「縁日」。屋台は現地調達。
タコスとそうざいの店『みよし屋』が参加したバンコクのイベントレポート。
2025年4月15日
text: Taichi Abe
「世界規模で、いま一番元気な街!」との呼び声が高いタイの首都、バンコク。2024年11月、その街の、東京で言えば表参道のような場所で、日本から海を越えた10のショップやブランドがポップアップイベントを開催。コンセプトはどうする? いったい誰が来てくれる? どんな店をつくればいい? そのチャレンジはまさに手探り。でも、正解がないから面白い! トヨタ ハイエースの内装を変えてポパイの「移動式編集部」を仕上げた、浜松のクリエイティブ集団『moc ollie』を主宰する松本憲くんの視点を軸に、その試行錯誤の様子をお届けします。
話の始まりは2024年の6月にまで遡る。ゴールデンウィークに、バンコクでポップアップイベントを行った、タコスとそうざいの店『みよし屋』から「今回のポップアップで商業施設のディレクターと繋がれて、次回またタイでイベントを開催するのだけど一緒に行かない? 次回のイベントでは『みよし屋』だけではなくて、日本の仲間たちと一緒に出店したくて」と声がかかる。憲くんが出した答えは「『moc ollie』としてではなく、『お楽しみモール』で参加します」というもの。『お楽しみモール』は、同じく浜松市の『コーヒーショップ ミハル』、静岡市の『リサイクルショップ スペイシー』、大阪の『ALL GOOD STORE』に、憲くんが手掛けるブランド『YOU CO.』(『ALL GOOD STORE』の店主・ファンキーさんと一緒に結成)から成るユニット。日本国内の数々のイベントに出店している。
結局、集まったのは、『お楽しみモール』と『みよし屋』の他には以下の面々。
●『Bob Foundation』(東京)シルクスクリーン
●『EL BURRITO’S SKATE AMIGOS』(東京)アパレル
●『LIM』(城崎)焼き菓子・ドーナツ
●『トーキョーサワースタンド』(東京)ドリンク
●『西海陶器』(波佐見)陶器
日本からは全部で10ブランドが海を渡ってバンコクでポップアップすることになった。
場所は、東京で言うと表参道のようなエリアにある『theCOMMONS Thonglor』。地元の感度が高い人や、海外からの旅行客、バンコクに駐在する日本人などがメイン。毎週、何かしらのイベントがあったり、週末になればDJのプレイやバンドによる生演奏が楽しめる場所だ。申し分ない商業施設で存在感を発揮したい。でも、今回のメンバーは寿司を出すわけでもなければ和装を売るわけでもない。バンコクのローカルたちがイメージする典型的な“日本”とは違ったアイテムや料理やサービスで乗り込むことになる。だから、そのプレゼンテーションのスタイルを和風にすることにした。テーマは「縁日」だ。
憲くんにとってイベント施工はお手のもの。自ずと、会場の設えを、憲さんとグラフィックデザインを手掛ける『Bob Foundation』の朝倉洋美さんが担当することになった。日本の縁日の出店のような仕掛けができないか。もちろん、日本だったらまったくもって問題なし。でも場所はバンコクだ。資材はどこで仕入れるべきか。そもそも思うようなパーツが手に入るのか。予算だって限られている。「もともと、出たとこ勝負は得意なほうですが、今回ばかりはどうなるかわからなくてワクワクしますね」と笑う憲くん。ラフなスケッチを日本で作成し、いざ渡航だ。
テーブルは会場サイドから借りられることがわかっていたので、今回はその上に日本の屋台のような骨組みを作り上げることにした。でも、木材で作るのは重いし、高いし、後片付けも大変。そこで「今回は配線などを通すプラスチック管を使ってみたらどうですかね」と憲くん。果たして想像していたパーツはあるのか。おっかなびっくり現地のホームセンターに足を運ぶと、ありました! 安くて、軽くて、取り扱いやすいプラスチック管が! ジョイントパーツも買って、Airbnbで見つけた滞在先のアパートで仮組みを行う。どうしても足りない資材は、現地の施工業者が利用するような商店で調達。憲くんの持ち前のコミュニケーション能力で、商店の主人から道具を借りて、店先で作業をするような一幕も。
ジャジーな試行錯誤の末に『theCOMMONS Thonglor』には、普段見られない日本の縁日風景が広がった。『リサイクルショップ スペイシー』のアームくんによる選曲で、お祭り気分を盛り上げる音楽も流れて、イベントは大盛況。現地にも友人がたくさんできて、日本とバンコクがぐっと近くなった。「またやりたいですね。今度は会場にやぐらなんか組みたいかな」と、空を見上げる憲くんの顔が晴々しい。
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