カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.44

半球貝附真珠

2025年2月3日

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机の上のサイエンス。


photo: Akira Yamaguchi
text & edit: Shogo Kawabata
2025年2月 934号初出

真珠繁殖の歴史を物語る貴重な標本。

真珠養殖の歴史を物語る貴重な半球貝附真珠の標本。ほんのわずかな期間しか行われていなかった養殖法なので、貝についたままの状態で残されているものは非常に珍しい。¥8,800〜(ハンズ名古屋店10F地球研究室☎052·566·0109)

 三重県志摩市の英虞湾は、日本を代表する真珠養殖の地。江戸から明治にかけて、天然の真珠は乱獲によって枯渇してしまい、政府は国家事業としてアコヤ貝で人工真珠をつくることを推進した。そんな中、現在の「MIKIMOTO」の創業者である御木本幸吉氏が、1893年、世界で初めて半球型の真珠の養殖に成功する。しかし、まだその頃は半球のものを貼り合わせて球にするしかなかった。その後、1907年に西川藤吉氏によって球形遊離真珠という球状の真珠を作る技術が発明され、真珠の養殖技術は確立する。この標本は、球形遊離真珠が発明されるまでの十数年しか作られなかった半球貝附真珠。100年以上前のものが、こうした貝についたままの状態で残されているのは非常に貴重だ。

 有機物ながら五大宝石の一つにも数えられ、人類が手にした最古の宝石のひとつともいわれる真珠。この半球貝附真珠は宝石標本のひとつに加えたくなる逸品だ。