ライフスタイル

私のいえは、東京 山のうえ Vol.41

社本真里の隔週日記: 生ごみ

2023年10月1日

photo & text: Mari Shamoto
edit: Masaru Tatsuki

 やっとアパートのエアコンをつけなくても過ごせるくらい涼しくなった。この夏はとにかくお腹を壊すことが多くて、村の友人にその話をしたら、エアコンになれてないからじゃないかとニヤニヤした顔で言われた。そんなことより暑い街の生活で、一番ストレスだったのが、生ゴミだった。匂いとそのゴミにたかる虫にとにかくヤキモキしていた。

 夏、小屋では全ての窓が網戸のまま。掃き出しの正面窓を施錠をすることもほとんどなかったので、風通しが常によく、夏でも気温が比較的低いこともあってか、匂いを気にしたことはなかったし、虫もわかなかった。ゴミ捨て場は近くにはないけれど、車で3分くらい下った所に透明のトタンで造られた建物があって(ジローさんはそこをクリスタルハウスと言っている)回収の日程に合わせなくてもいつでも捨てることができた。機密性の高いゴミ箱を買うのか? ゴミ袋を小さくして小まめに出すのか? ビニールの袋を何枚か重ねる? など、検討した結果、「コンポスト」にいきついた。

檜原村
いつも施錠していないことはみんな知っている。雨の日に網戸になっていると、ジローさんたちが閉めてくれていたりする。
3ヶ月目のコンポストの中。これが良い状態なのか、詳しくは分からないが、毎日快適である。

 コンポストは生ゴミを微生物の力で堆肥化するもので、コンポストの中には土や炭やもみ殻、大鋸屑なんかが入っていて、そこに毎日出る生ゴミを入れる。それがいつの間にか分解され土に還っていく。集落での生活でも、近くのあばあちゃんは秋になったら落ち葉をたくさん集めて、畑の肥やしになる腐葉土を作っていたり、ヨシコさんも庭に生ゴミの捨て場があって、毎日捨てているけど量が増えることはなかったので、感覚としての理解はあった。集落の生活でも堆肥化というのは選択肢にはあったけど、自分一人の生活ではなかなかゴミも出ないし、畑をやっているわけでもないのでなかなかやろう! とはならなったけど、街に生活したことで、コンポストをやり始めるとは思ってもなかった。街で生活することで新しい発見がある。新しい価値観が生まれたり、集落での生活が役立ったり。この間、集落のみんなとご飯を食べたときコンポストを全力でお勧めした。

プロフィール

社本真里

しゃもと・まり | 1990年代生まれ、愛知県出身。土木業を営む両親・祖父母のもとに生まれる。名古屋芸術大学卒業後、都内の木造の注文住宅を中心とした設計事務所に勤め、たまたま檜原村の案件担当になったことがきっかけで、翌年に移住。2018年に、山の上に小さな木の家を建てて住んでいる。現在は村内の林業会社に勤め、山の素材の販売や街と森をつなぐきっかけづくりに奮闘している。