カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.41

双晶

2024年11月3日

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机の上のサイエンス。


photo: Akira Yamaguchi
text & edit: Shogo Kawabata
2024年11月 931号初出

さまざまに結晶する石英の奥深さ。

左から、長崎県奈留島産の日本式双晶。同じく奈留島産の日本式双晶の軍配型。群馬県三ツ岩岳産の120度の両錐貫入式三連双晶。同じく三ツ岩岳産の60度の両錐貫入式のセプター三連双晶。奈良県天川村産の十字型双晶。群馬県三ツ岩岳産のトンボ型双晶。トンボ型は三連双晶の中でも1000個に1つ程度しか見つからない。

 鉱物結晶内のある面を境にして別の方向に原子配列の向きが規則的に変わって成長したものは「双晶」と呼ばれる。特に有名なのは石英の双晶で、一つの格子面で84.34度の角度で接合しているのが「日本式双晶」と呼ばれるもの。明治時代の日本で数多く産出したことからドイツ人研究者のゴールドシュミットが「JAPAN LAW TWIN」と名付けた。その他、石英では「ブラジル式双晶」や「ドフィーネ式双晶」などさまざまな形のものが見られる。なかでも珍しいのが、日本の群馬県の三ツ岩岳でしか見つかっていない「トンボ型」といわれる双晶。この産地では、「三連双晶」と呼ばれる、「前にならえ!」をしているような三方に伸びる珍しい結晶も見つかるなど、種類が非常に多い。写真の稀少な石英の双晶コレクションは、画家であり鉱物研究者である鶴田憲次氏のもの。石英は産地によりさまざまな特徴を持つものが多く、非常に奥深い。