1970年代、軍事独裁政権下のブラジル・リオデジャネイロ。幸福を絵に描いたようなパイヴァ一家の暮らしは、家長であり政府に批判的だった元下院議員のルーベンスが強制連行されたことにより一変。さらには、彼の妻であり母のエウニセ、娘の1人まで連れて行かれることに。彼女たちは解放されたものの、ルーベンスは行方不明のまま。かくして、エウニセが真相を暴くために動き出すという、実話を元にした作品だ。そんな本作において重要となるのが、写真に他ならない。一家は家族写真を撮ることをならわしとしており、海辺で友人たちを含む楽しげな撮影シーンが冒頭に据えられる。しかし、連行された後、暴力的に顔写真を撮られたエウニセが取調室で見せられるのはファイリングされた反政府活動家たちの顔写真だし、解放後、彼女が軍の横暴を告発すべく国外の新聞に掲載するのも父不在の家族写真。写真は、単に幸せな時間の記録という意味だけなく、ときに攻防の武器にもなるのだ。今やクラウドに大量に保存され、現像されることはもちろん、顧みられることすらほとんどない”データ”になってしまった写真(それは本作のラストを飾る現代パートでも暗示される)が、もっと重要だった時代の記憶としても興味深い作品だ。8月8日より公開。
5月第3週の「TODO RADIO」を聴く。
呉屋慎吾「En Route by ALBUM」/グランド・イリュージョン ダイヤモンド・ミッション/Hotdog in the Ocean TAMAKI IWAO/97歳セツの新聞ちぎり絵 原画展/ど...
福岡の街を、名作椅子を探して歩く。
“Chair Expedition”と名付けられたユニークなイベントが、5月15日から始まる。2024年に逝去したインテリアデザイナー永井敬二氏の膨大なコレクションから選ばれた20脚の名作椅子が福岡、...
呉屋慎吾「En Route by ALBUM」に行く。
インディペンデント・マガジン『.OWT.』を手がけるほか、本誌『POPEYE』をはじめ、ファッション、広告、建築などの分野でも多岐に渡り活躍する写真家・呉屋慎吾さんによる個展が開催中だ。ダイナー、工...
『マテリアリスト 結婚の条件』が気になる。
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『スマッシング・マシーン』を観る。
”サフディ兄弟”名義をジョシュと解消したベニーが、にもかかわらずジョシュの『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』と同じく、日本が重要な役割を果たすアスリート映画を作ったのは偶然なのか必然なのか。そん...