ライフスタイル

写真家・森山大道に「仕事」を問う。

Asking Daido Moriyama About “Work”

2026年8月25日

これが僕の仕事。


photo: Daido Moriyama
text: Keisuke Kagiwada
2026年9月 953号初出

強い欲望を持ち続けながら1枚でも多くの写真を撮る。

 長い間ひとつの仕事だけと向き合ってきた人の話が聞きたくて、もう60年以上にわたり路上でシャッターを切り続けてきた森山大道さんに質問を送った。返ってきた答えは、いたずらに偉ぶることも、迂回することもなく、すごくシンプルだった。その研ぎ澄まされた言葉からは、森山さんにとって「写真を撮ること」が、「生きること」と同じくらい自然な現象なんだと物語っているようにも感じられた。実は仕事をするって、とってもシンプルなことなのかもしれない。

Q1
森山さんは写真家を「仕事」として考えていますか?

どちらとも言えない、好きなことがたまたま仕事になったということ。

Q2
「写真家」は、森山さんにとって「天職」と思われますか?

天職という言葉があっているかはわからないが、写真があって、カメラがあって本当に良かったと思っています。

Q3
写真家としてスナップを撮影する際の平均的な「1日の流れ」をまとめるとどうなりますか?

日によって、その日の気分によって変わります。

Q4
街で撮る際に、ご自身に課しているルール、もしくはついついやってしまうくせなどはありますか?

特にありません。

Q5
1日にシャッターを切る回数は、日によって異なるのでしょうか?

その日の体調や、天気、気分によってもちろん変わります。

Q6
かくしてプリントされた作品を写真集としてレイアウトされ、まとめられることも多いわけですが、森山さんの中で一枚の写真としての「完成」は、どこにあるのでしょうか? シャッターを切った瞬間なのか、現像された瞬間なのか、もしくは写真集としてまとめられた瞬間なのでしょうか?

写真集であれ、展覧会であれ、世に出たときが区切りにはなりますが、それで完成だとも思っていません。

Q7
写真家として常に第一線で活躍してこられた森山さんも写真を撮ることに飽きる、やめたいと思う瞬間はあったのでしょうか?

写真をやめたいと思ったことは一度もありません。

Q8
以前、ユニクロとコラボレーションしてTシャツを作った際、通称「三沢の犬」の写真が大胆にトリミングされてプリントされていたことが印象に残っています。写真家によっては完成された作品に手を加えることは厳禁とする中、森山さんがトリミングに寛容なのはなぜでしょうか?

Tシャツに限らず、写真は印刷されることを前提としたメディアであると考えています。

Q9
かつて森山さんは「写真は、言葉によって断定されたり確定されつづけるのではなく、いったんは言語化されても、そこから逃れさっていく。そういう要素がある」と語られていました。その一方で、書籍などを通して写真について多く語られてもいます。言葉の仕事は森山さんにとって、どういう位置付けなのでしょうか?

好き、嫌いで言えば、好きではありません。

Q10
『写真よさようなら』の頃を、「若い時期で、やや挑戦的な気分をあれこれに対して持っていたから」と述懐されている記事を拝読しましたが、年を重ねることで「挑戦的な気分」とは異なる気分へと移行していっていると思いますか? 今の気分を教えていただきたいです。

1枚でも多くの写真を撮りたいと思っています。

Q11
森山さんが独自に生み出した写真のスタイルは、今や日本のみならず世界に影響を与え、なかには猿真似に近いようなものも見受けられます。こうした状況をオリジネーターとしてはどう受け止めていますか?

自分の写真が何かのオリジナルということは考えたことはありません。そもそも写真は現実のコピーですから。

Q12
森山さんにとっての「写真」のように、自分の好きなことを職業とするために大切なことは何だと思われますか?

強い欲望を持ち続けること。

プロフィール

森山大道

もりやま・だいどう|写真家。1938年、大阪府生まれ。主な写真集に『にっぽん劇場写真帖』『写真よさようなら』など。2026年、『KYOTOGRAPHIE』にて回顧展『A Retrospective』が開催された。

Official Website
https://www.moriyamadaido.com