カルチャー

全国9都市、全26公演、2万人動員!ニューヨーク史上最大の単独ライブ開催【前編】

今年のタイトルは「ニューヨークの横からシツレ~します!」

2026年8月21日

photo: Wataru Kitao
text: Neo Iida

 今年もまた、ニューヨークの単独ライブが幕を開ける。気になるタイトルは「ニューヨークの横からシツレ~します!」。年々興行記録を更新し、今年は東京、大阪、北海道、岐阜、福岡、宮城、愛知、新潟、広島の全国9都市、全26公演を開催。2万人の動員を見込む、史上最大規模のツアーとなる。テレビやYouTubeなど華々しい活躍をしながら、欠かさず新作の漫才とコントを作り続けるニューヨーク。今年もまた準備段階の2人に、ライブへの思いを聞いた。

今年のVTRはちょっと壮大になる予定。

―今年も単独開催、おめでとうございます。

屋敷 ありがとうございます!

嶋佐 ありがとうございます!

―毎年同じ質問になってしまうんですが、準備状況からまずお伺いできたらと……。(7月8日時点)

屋敷 まあまあ、例年通りです。ちょこちょこ今はリモートで打ち合わせをしてる感じですね。はい。

―ニューヨークさんの単独といえば毎年オール新作で、漫才とコントがそれぞれ3〜4本ずつ。幕間VTRがあって、ゲストはなし。かなりストイックなスタイルですよね。今の状況でいうと、舞台で見せられるようなネタは?

屋敷 全くないです。でも話し合ってはいます。漫才とコントとVTR、それぞれどうしようかって。あと今年のVTRはちゃんと撮れるのか?っていうくらいちょっと壮大なんです。オファーをかけてる人がどうなるかわからんくて。ここ数年見てもいちばんどうなるかわからないVTR企画を考えてます。

―楽しみです。去年は嶋佐さん以外全員が外国人の合コンを覗き見するムービーでしたよね。

屋敷 そうですね。でもあれとは全然違います。

嶋佐 また全然違いますね。

―待ち遠しいです。あと今回のタイトルは「横からシツレ〜します!」ですが、ここ数年の「虫の息」「そろそろ、」「将来の夢」とはテイストがガラッと変わりましたよね。この由来についてお伺いできますでしょうか。

往年のバラエティ番組風の「ニューヨークの横からシツレ~します!」メインビジュアル

屋敷 毎年、マネージャー陣に単独のタイトルのアイデアを送ってもらってるんです。でも今年は単独のタイトルなんて話も出てない頃に、マネージャーのグループラインに若いマネージャーが「横から失礼します。今年の単独のアイデア送らせていただきます」って案を送ってきたらしいんですよ。その人は現場にもついてないし、僕らのマネージャーでもないんですけど、なぜか単独にだけついてくれていて、なんでこのタイミングで急に単独のタイトル案を送ってくれたんやって感じがおもろくて、じゃあもうこれにしちゃおうと。写真の雰囲気とも相性が良さそうやったし。

―あ、先にタイトルがあってビジュアルを作ったわけじゃないんですね。

嶋佐 そうです。いつもビジュアルが先ですね。まずビジュアルどうしようか考えるんですけど、今回はちょっと前から流行ってる平成レトロとか80年代の雰囲気でやってみようかって。それで、僕ら全然世代じゃないですけど『夕焼けニャンニャン』(※1)みたいな番組ポスターの雰囲気でビジュアルを撮って。そのあとにマネージャーがメールで送ってきた「横から失礼します」がまさに昔の番組タイトルっぽくてしっくりくるなあって。

ネタの素は、何か気になる違和感、面白いと思う好奇心

―そういう流れだったんですね。お二人のなかで単独ライブの売りポイントはどういうところにあるんでしょう。

屋敷 漫才とコント半々でやってる芸人って本当にいないですからね。全部のネタが種類が違うというか、だいぶ面白いと思いますけどね。

嶋佐 全部新ネタですしね。VTRもそのためにロケ行ってちゃんと作ってますし、まあまあ見応えはあると思いますね。

―ゲストもなしで、ストイックにやってらっしゃいますもんね。作り方は変えていないんですか?

屋敷 マジで変えてないですね。作家もずっと今井(太郎)さんと関野(樹)くんですし。ここ数年で変わったことはコロナで打ち合わせがリモートになったぐらい。

嶋佐 リモートはだいぶ楽になりましたね。喫茶店代がね、コーヒー代が浮くんで。

―でもお二人の状況はどんどん変わるじゃないですか。数年前にお伺いしたときも、すでに「生活が充実してくると物事を斜めから見られなくなる」というお話をされていたと思うんです。

屋敷 そうですね。なんで、腹立つやつを探すっていうよりは、気になる人を探すっていう感じですかね。怒りというよりも、何か気になる違和感とか、面白いと思う好奇心とか、そっちから作ってることが多いかもしれないですね。

―なるほど。確かに昨年の単独で披露したロン毛の長谷川さんのコントも、「髪の毛が長い」っていうところが起点ですもんね。

屋敷 そうですね。髪の毛が長いって別に嫌じゃないですけど、考えれば考えるほどおもろいなみたいなところから入っていって。

―そういう気になることは随時おのおのが溜めておくんですか?

屋敷 いや、溜めてもないです(笑)。話し合いながら出てくる感じです。でもまあ、今までやってないことをやろうっていうのがどっかであるから大変ですね。なるべくやってないことを触っときたいから、まだここの辺やってないなとか、やってないことを探してる感じはありますね。構成とか、テーマとか、笑いの取り方なのかわからないですけど、なるべく新しいものを作ろうとしてます。一年に一回やし。

―今年1月に放送された『令和ロマンの娯楽語り』でダウ90000の蓮見さんが「ニューヨークさんの単独がいちばん面白い」と話題にされていて、認知が広がっている印象があります。そういった評価をどういうふうに受け止めていらっしゃいますか?

屋敷 めっちゃ嬉しいです。蓮見くんが主に言ってくれますね。後輩も先輩もそうですけど、褒められるのがいちばん嬉しいですから、もっともっと広まってほしいなと思いますけどね。

嶋佐 形とか中身はもう15年ぐらい同じ感じでやってきてるんですけどね。最近は関係者の方とか、お仕事させてもらった方がよく見に来てくれるようになりましたね。

屋敷 そうですね。佐久間(宣行)さんとか、『さんまのお笑い向上委員会』でお会いするディレクターの池田(哲也)さんが「めっちゃ面白かったです」って言ってくれたり、「ニューヨークの単独?なんやろな?」と気になって観に来てくれる関係者の方がちょっとずつ増えてきてる気がします。

昨年の単独「将来の夢」を振り返る

―去年の単独「将来の夢」から1年ですが、改めて振り返ってどうでしたか?

屋敷 去年はなんか疲れました。開催期間が長かったし、たくさんやったし、終わったときは達成感というか、終わったあって感じがしましたね。でも今回もっと多いんですよ。だからビビってますね。また始まるぞっていう。

―今YouTubeでも去年のライブのネタがいくつか上がっていますよね。せっかくなのでそれぞれどういうふうに生まれたかを聞けたらと思うんですが、まず漫才の「ち●こ太鼓」から……。

嶋佐 嬉しい。ありがとうございます。

屋敷 あれが出来たのは初日の3日ぐらい前とかやったんちゃうかな。ネタができてなさすぎて、ちょうど漫才一本ぶん足りてなかったんですよ。で、どうしようかなと考えていたら、確か関野くんが「『痛快TV スカッとジャパン』のスカッとした方法がめちゃくちゃ、みたいなのはどうですか?」って言ってくれて。その1週間ぐらい前に札幌行ったとき、同期のなまらあつしとコロネケンの渋谷くんが「(元ビスケッティの)岩橋さんがち●こ太鼓してきて」って普通に言って来て「何その言葉?」って話をしてたんですよ。それを組み合わせてバババッて作りました。

―なるほど。嶋佐さんの一連の動きもその時からもうすでにあったんですか?

嶋佐 どうだろう?

屋敷 あ、っていうか動きは渋谷くんの話のなかにすでにあったんやね。「ぺちんぺちん」と「ち●こ太鼓」を拝借した感じです。

―なるほど。そこに嶋佐さんの「あ〜た〜ふ〜た〜」みたいな味付けが加わって。でも3日ぐらい前にできて、すぐにネタとして組み込めるってすごいですね。

屋敷 漫才はきっかけとか道具がいらんからギリギリまで放っとけるんですよ。だから逆に油断してやばいやばいってなって、慌ててあれを作った感じですね。

―できた時はどんな気持ちでした?

屋敷 めっちゃ笑いましたけど、もう夜中やし、焦ってるし、これがウケるかどうかもマジわからんくて。

嶋佐 確かに。ウケんのかなあって感じでしたけど。

屋敷 ただめっちゃ笑いました、俺らは。

―東京の初日の公演を観ましたが、大爆笑でしたよね。

嶋佐 そうですね、嬉しかったですね。

―そして「40年ぶりに再会した同級生」のコント。単独の最後に披露された、成功してFIREした男と、現場仕事をして働く男、ふたりの同級生の物語です。嶋佐さん演じる古賀のキャラが最高でした。

嶋佐 あれは、ある番組の面白いスタッフさんをイメージしたんです。

屋敷 よく嶋佐のことを「髭生やしてるけどカッコつけてるの〜?」ってイジってくるスタッフさんがおって。その人わりと太っとるんですけど、全然卑屈じゃない感じがおもろいなって。そこから広げていきました。

―嶋佐さんの役柄って、どのコントでも演技力がワッと出ているなと思うんですけど、自然と肉付けされていくものなんですか?

嶋佐 どうなんだろう、一応なんとなくはその人をイメージしてるんですよね。

―でも、かといってモノマネになってるわけではない気がするんです。我々はそのスタッフさんを知らないですけど、嶋佐さんの要素がちゃんとある。

屋敷 あー確かに。モノマネでは全然ないですね。

―あと、割とメイク濃い目だったのはどうしてなんですか?

嶋佐 濃いメイクの方が面白いと思ってるんで、僕らは。もう全然マッキーでがっつり描いたほうがいいと思って。

―あれマッキーなんですね。

嶋佐 はい。

―感動的な話でもあったので、そのへんの混ざり具合が面白いなあと思いました。

嶋佐 たまたますけどね、それも。展開を考えてるうちになんとなくです。ちょっと感動寄りになっちゃってるなあって思いましたけど。

屋敷 そうですね。最初からああいう話にしようとは思ってなかった気しますね。「幸せ論」みたいなんを語ったときに、古賀みたいなヤツよりFIREしとるやつのほうがくらうっていうのはおもろいかな、というのはあった気しますけど。

―なるほど。いわゆるうだまん(※2)さんじゃないですけど、「豊か」の在り方というか。シェアハウスで暮らしたり、デートをしたり、料理を作ったり。

屋敷 いや、でも古賀は別に豊かじゃないじゃないですか。それがいちばん最強なんじゃないかって思ったんです。日々ちっさいことに幸せ感じてるとかでもないし、別に趣味もないけど全然辛そうじゃない。そんなイメージでした。

―よくニューヨークさんて「悪意がある」とか「斜めから見てる」みたいな評価を受けがちですが、それとも違う、日常のなかのヒリつきというかピリッとくるところをクローズアップして笑いにしていて、凄いことをやっているなあと思いました。

嶋佐 えー嬉しい。ありがとうございます。

旅行がてら、ぜひ全国でライブを

―さらに今年は割と早めに「ライブ来てください」という動画を出されましたよね。

屋敷 いつもツアーの最後のほうに土下座して売れるみたいなことが続いたんで、それやったらもう早めに上げてまえ、みたいな感じでしたね。

―最初に土下座したのは2年前ですよね。東京公演が人気だから追加公演を打ったのに、なぜかチケットが残ってしまったという。この動きについて蓮見さんが『娯楽語り』のなかで「面白いのにチケットが残っている」という点を指摘されていました。

屋敷 当初から予定していた公演はソールドアウトだったんで、来れなかった人もいたはずなんですよね。つまり届いてない層がまだあるなと。それでYouTubeで動画を出しとくか、みたいな感じやったんですけど。

嶋佐 本来情けないんでね、土下座って。「最後の東京公演余ってます!」なんてやりたくないですし、本当は発表した段階でバーンってある程度ソールドアウトになるのがいちばんなんで。

屋敷 ラジオではちゃんと告知してたんですけどね。

嶋佐 最近そんなことやる芸人が増えてきてるんですよ。単独のチケットを売ろうとして。僕らの同期のいぬとか先輩のネルソンズさんとかいろんなところで散見されるんで、よりやりたくないというか。…まあ、それも考えようによっちゃ、僕らが切り開いた道ではあるのかな。

屋敷 え、全然?(笑)かっこよくないけどな。

―その効果もあってか、今回はチケットもいい感じで動いているらしいですね。

屋敷 そうですね。結構いい感じって聞いてます。

嶋佐 仙台がちょっと手薄みたいです。

屋敷 いや仙台もね、結構売れてたよ。でもまだ買えるところはあると思うので、まだ見たことがないという人にぜひ来ていただきたいです。

嶋佐 広島がめちゃくちゃでかい会場になっちゃったんですよ、いろんな兼ね合いで。でもぜひ広島旅行がてら来てもらえたら。

※1…1985〜1987年にかけて平日夕方にフジテレビ系列で生放送されたバラエティ番組。司会をとんねるずや片岡鶴太郎らが務め、現役女子大生で構成されたアイドルグループ「おニャン子クラブ」を輩出した。

※2…吉本興業に所属する東京NSC18期生のピン芸人。屋敷さんの3歳年上の後輩で、「屋敷軍団」の一員。芸人たちとシェアハウス「桜上水ハウス」で暮らしている。高い料理力があり、『ラヴィット!』の料理対決でも腕をふるう。愛車はジョーカー。

インフォメーション

ニューヨーク単独ライブ「ニューヨークの横からシツレ~します!」

〈開催日程〉

・東京公演(有楽町よみうりホール)
9月4日(金) 18:00開場/19:00開演
9月5日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
9月6日(日) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演

・大阪公演(COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール)
9月25日(金) 18:00開場/19:00開演
9月26日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
9月27日(日) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演

・北海道公演(共済ホール)
10月5日(月) 17:30開場/18:30開演

・岐阜公演(じゅうろくプラザ ホール)
10月10日(土) 17:00開場/18:00開演
10月11日(日) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演

・福岡公演(よしもと福岡 大和証券劇場)
10月16日(金) 18:00開場/19:00開演
10月17日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
10月18日(日) 13:00開場/14:00開演

・宮城公演(電力ホール)
10月25日(日) 15:00開場/16:00開演

・愛知公演(ウインクあいち 大ホール)
10月30日(金) 18:00開場/19:00開演

・新潟公演(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場)
11月8日(日) 15:00開場/16:00開演
主催:サンライズプロモーション北陸

・広島公演(呉信用金庫ホール)
11月14日(土) 16:00開場/17:00開演
主催:広島ホームテレビ/吉本興業/(公財)呉市文化振興財団

・東京凱旋公演(有楽町よみうりホール)
11月22日(日) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
11月23日(月・祝) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演

〈チケット情報〉
販売:FANYチケット、チケットぴあ、ローソンチケット
チケット:https://r.ticket.fany.lol/newyork2026
前売6,000円/当日6,500円/高校生以下学生料金3,000円(税込・全席指定)
※前売券が完売した場合、当日券の販売はありません。

オンライン配信あり
11月23日(月・祝)東京・有楽町よみうりホール千秋楽公演
料金:2,000円(税込)

プロフィール

ニューヨーク

屋敷裕政と嶋佐和也によるお笑いコンビ。NSC東京校15期生として出会い、2010年に結成。2019年、2020年の『M-1グランプリ』、2020年と2021年の『キングオブコント』で決勝に進出。2019年に公式YouTubeチャンネルを開設し、週1回の生配信「ニューヨークのニューラジオ」をスタート。現在は『超調査チューズデイ〜気になる答え今夜出します〜』(フジテレビ)でカズレーザーとともにMCを務めるほか、『ラヴィット!』(TBS・木曜レギュラー)、『愛のハイエナ season6』(ABEMA)、『ニューヨークジャック』(X)などに出演中。