カルチャー

GWが終わっても刺激的な日々を過ごすために読みたい3冊。

5月はこんな本を読もうかな。

2025年5月1日

text: Keisuke Kagiwada

『知覚の宙吊り: 注意、スペクタクル、近代文化』
ジョナサン・クレーリー (著), 岡田 温司 (監修)、石谷治寛、大木美智子、橋本梓 (訳)

長らく非人道的なプレ値古書でしか入手不可だった名著が、懐にやさしい文庫本で再登場。「注意を払う」という振る舞いが、近代的な主体性を形成する上でいかに重要だったのかってことを、マネ、スーラ、セザンヌを主な素材にしつつ、あらゆる学問や知的エピソードで味付けしながら浮かび上がらせる。訳者解説にもあるように、アテンション・エコノミーが問題視される今こそ読まれたし。¥3,300/平凡社

『あたらしい散歩──専門家の目で東京を歩く』
大北栄人、林雄司(著)

「昔の渋谷は楽しかった。今はつまらない」。最近よく聞くこの言葉、気持ちもわからなくはないが、とはいえ楽しむ努力をしてない人がほとんどなんじゃないか。視点を変えれば、見える景色は変わるってのに。専門家と街歩きしてみることを通して、このルポルタージュが鮮やかに示したのは、まさにそれ。いきなり接着剤の専門家と渋谷を歩いちゃうって発想からもう虜。こりゃオルタナティブ系『ブラタモリ』だ。¥2,530/Pヴァイン

『啓蒙の海賊たち あるいは実在したリバタリアの物語』
デヴィッド・グレーバー (著)、酒井隆史(訳)

ブルシットジョブ論で一世を風靡したアナキスト人類学者、故デヴィッド・グレーバー。彼の生前最後の一冊で掘り下げられるのは、近代ヨーロッパの根幹を支える啓蒙思想を、先に創造していたのは17世紀のマダガスカルの海賊だった、という嘘みたいな話。つまり、西洋ってなんなん? って話だ。そんな刺激的すぎる本書読了後は、必ずやこう叫びたくなるに違いない。海賊王に、俺はなる!¥2,640/岩波書店