フード

異国の店主と土地の味/インド料理店『やっぱりインディア』Vol.25

インタビュー・土井光

2024年1月16日

各地のローカルな風を届けてくれる東京近郊の外国料理店の店主を、
料理家の土井光さんと巡るコラム

『やっぱりインディア』店主のスレンダ・モハンさん(右)とラム・モハンさん(左)。

土井光(以下、土井) 店主のスレンダさんとラムさんは、ご兄弟なんですね! 異国の地でお店を営む際にご家族が一緒だと心強いと思いますが、お二人は同時に来日されたのですか?

スレンダ・モハン(以下、スレンダ) 1994年にワタシが先に日本に来て、その4年後に弟のラムが来ました。ワタシは、来日するまでインドの5つ星レストランでシェフをしていたのですが、銀座のインド料理店『グルガオン』の立ち上げのときにシェフとして日本に招待されたんです。はじめは日本人のオーナーとワタシの2人だけで営業していて、日本語ができなかったから大変だったけど、働きながら一生懸命覚えました。

ラム・モハン(以下、ラム) そのあとスレンダは、『グルガオン』の系列店だった京橋のインド料理店『ダバ インディア』(※2023年4月に閉店)でも働いていたよね。ワタシも来日してからは『ダバ インディア』で働いてたので、一時期は兄弟揃って同じ職場だったんです。そのあとワタシは、三軒茶屋のインド料理店『シバカリーワラ』のオープンと同時にシェフを務めました。

土井 どのお店も、カレー好きなら誰もが知ってる人気店じゃないですか! しかも立ち上げから関わって、行列ができる繁盛店でそれぞれに活躍されて経験を積んでいたんですね。

スレンダ 来日してからの1年間はインドに帰りたいなと思う時も正直あったけど、日本人の友達ができてからはどんどん楽しくなりました。それに、インドに住んでた奥さんも日本に来てくれて、家族もそばにいてくれたしね。

ラム 兄弟でお店を持ちたいと来日した頃から考えていたから、その夢のためにも頑張れましたね。

大塚駅から徒歩2分のビルの2階。こぢんまりとしていて、お一人様も入りやすいアットホームな雰囲気。
スタッフは全員インド人。スレンダさんとラムさんは喧嘩をすることはないそうで、「毎日楽しく働いてるよ」と満面の笑み。厨房からはスタッフたちのはつらつとした声が聞こえてきて、とにかく賑やか!

土井 『やっぱりインディア』はお二人にとって念願のお店だったんですね。

ラム そうです。2017年にオープンして、ワタシたちの出身地である北インドの料理を中心に、日本で働いたインド料理店で学んだ南インドの料理も含めたメニューが食べられますよ。

生クリームとトマトのソースを使ったまろやかなバターチキンカレーや、スパイスたっぷりのチキンキーマ、臭みのないマトンカレー、バターや生クリームでクリーミーに仕上げたエビカレーなど、計10種類の中から好みのカレーを2種類選べるプレートメニュー。ダール(小粒の豆を煮込んだスープ状の料理)とライタ(野菜やフルーツ、スパイスの入ったヨーグルトサラダ)、大きなナンとライスが付いてくる。「全部を一気に混ぜるのではなく、ちょっとずつ合わせながら食べるのがオススメ」とスレンダさん。マサハーリー ターリー¥1,500
小さくカットして、ヨーグルトやスパイスに漬け込んだ骨なし鶏肉を炭火で焼いたチキンティッカ(¥720)。北インドではポピュラーな料理で、『やっぱりインディア』では、カシューナッツとチーズ、ヨーグルトとガラムマサラの2種類の味付けが楽しめる。アッツアツのチーズとガーリックも入ったインド風ピザ、チーズクルチャ(¥610)も合わせて頼むと、最高のおつまみに。

土井 カレーはスパイスがほどよく香り、コクとマイルドさがあって美味しい! 頭に残るキャッチーな店名も可愛いですね。

スレンダ 「やっぱりインド料理は美味しいね」「やっぱりインド料理が好きだね」と思ってもらえたらいいなという気持ちで、ワタシの子どもが命名してくれました。お店のロゴも内装も子どもたちが考えてくれたんです。

アニメーションを勉強していたスレンダさんのお子さんが作ったロゴが、メニューにもドンっと大きくプリントされている。

土井 協力的なご家族に支えられて今があるのですね。お二人もスタッフの方々も終始楽しそうに働かれていて、美味しいカレーでお腹が満たされるだけでなく、気持ちまで明るくなる場所ですね。ご馳走様でした!

土井さんからのコメント。「お店に入った瞬間、調理場のスタッフの皆さんがこんにちは〜! と満面の笑みで声をかけてくださり、ほっこりとした気持ちに。お話を聞くと、兄弟も多く皆さん各分野で活躍している方ばかり。そしてお二人は東京の数々の有名インド料理レストランでの経験をもち、期待値は上がる一方です。大塚は少しディープな印象があるのですが、店内は明るく黄色で統一され、ポップな印象。街とのギャップが楽しく、お昼も夜も来てみたくなります。カレーのプレートが到着すると、雑味のないカレーにスプーンが止まりません。味の細いところまで、すぎない味付けになっており、重くない。甘味のあるナンは老若男女、幅広く愛されそうな味。色々レストランは行くけど、やっぱりインド料理だよね! という気持ちになっちゃう、あったかいお店です!」

インフォメーション

やっぱりインディア

◯東京都豊島区南大塚3-50-3 ☎︎03・6907・2887 11:00〜15:00・17:00〜23:00 月休

Instagram: @yapparindia

今回取材したお店の国について

インド共和国

◯人口は約14億人! 中国に次いで世界で2番目に多い人口数。
◯面積は日本の約8.7倍。
◯パキスタンやネパールなどと隣り合わせ。
◯首都は、イギリス植民地時代の面影も残るニューデリー。
◯ヒンドゥー教徒が人口の約8割を占める。
◯憲法で定められた公用語はヒンドゥー語。
◯ヒンドゥー語で美味しいは、「बहुत अच्छा 」(バホット アッチャー)。

場所はここ