フード

FOREIGN RESTAURANT’S OWNER IN TOKYO Vol.11

🇺🇸『フリーマン食堂』ジェレミー・フリーマンさん/インタビュー土井光

2022年10月27日

海外から来た方が日本でオープンした外国料理の店は、味はもちろんだけど、それと同じくらい店主の人柄や考え方が魅力的だったりする。各地のローカルな風を届けてくれる東京近郊の名店の店主を料理家の土井光さんと巡るコラム!

 ヨーロッパかぶれになっていた私にとって、アメリカ料理には実はあまり関心がありませんでした。ただ、”パストラミ”という言葉を知ってから一度食べてみたいと思っていたところ、友人の勧めでフリーマンさんのお店に出合いました。初めて食べた時、想像していものとは全く違い、なんだか安心できる味と香りに驚いたのを覚えています。味わい深い美味しさに溢れたお肉に感動しました。店内はアメリカ人のお客様も多く、活気に溢れており、お肉の焼けるいい匂いが食欲をそそります。様々なビールもワインのようにセレクションされているので楽しんでみてください! 素敵な日米ご夫妻の作る、温かい食堂です。

 

今日はよろしくお願いします! 早速ですが、来日されたのはいつ頃ですか?

5年ほど前です。出身はニューヨークのアッパーウェストサイドで、結婚してからは妻のマイコと子供と一緒にブルックリンに住んでいましたが、家族で日本に引っ越しをして、お店は2020年にオープンしました。

ブルックリンに住んでいた時も飲食店を経営されていたんですか?

レコードショップのオーナーでした! 2005年に店を構えて、2017年までやってましたね。でも、私の姉はニューヨークで5つのレストランを経営しているし、僕もご飯を作って振る舞うのが好きだったので、ブルックリンにいた時からレストランを出すのは夢でした。

日本に来て、やっと念願が叶ったんですね。

ニューヨークは家賃もものすごく高いし、お店の入れ替わりも激しいから、レストランを持つことは本当に大変なんですよね。古くていいものがどんどん新しいものに変わっていく街の忙しなさにもうんざりしちゃって。それで日本に越してきて、店を出せるチャンスだ! とすぐに思いましたね。

ジェレミーさんの苗字が入った店名。

日本でアメリカの料理といえばハンバーガーのイメージがありますが、なぜパストラミサンドを出すお店を始めようと思ったのですか?

ブルックリンで住んでいた家にバックヤードがあったんですけど、そこで週末になるとBBQをして、パストラミサンドやスペアリブを作っていたんです。カントリーミュージックが流れていて、アメリカの国旗が掲げられているような、作り上げられたアメリカのイメージの店ではなくて、実際に自分たちがやっていたことを再現したかったので、思い出をそのままメニューにしました。

家族とバックヤードでBBQなんて、絶対に最高ですね!

好きな音楽を流しながら、僕と奥さんの友達を呼んでBBQをしていたら、ご近所さんから知らない人までゾロゾロと集まってきたんです(笑)。パストラミサンドを振る舞ったりして、楽しい時間だったし、シェフとカスタマーがひとつになる感覚が居心地良かったですね。

パストラミサンドは完全にオリジナルのレシピなんですか?

もちろん! でも、このレシピのインスピレーションとなっているのは、ユダヤ人が営む近所のデリカッセンで小さい頃に食べていたパストラミサンドなんです。僕は馴染みのある味を食べると当時の記憶が鮮明に蘇ってくるんですけど、そういう子供の頃の記憶が帰ってくる温かみのある味わいを再現するために、何度も試行錯誤しましたね。

キッチンの中には、大人の目線と同じ高さの特注のBBQ機が。

日本にはない個性的な味付けだけど、一口食べただけで愛情を持って手作りされていることが伝わってきて、なんだか落ち着きます。

味もそうですが、空間もコージーでリラックスできる店がいいですよね。僕は日本の居酒屋が大好きなんです。お客さんが食べ終わったお皿を店員さんに渡したり、家の延長のような感じでいいなと思っていて。この店もお客さんにとってアットホームな場所であって欲しいと思いますね。

この店は、ビールをセルフで取れるところも家っぽさがありますよね!

そうですね。冷えたビールがあるだけでも十分ですが、食事とマッチするドリンクがあるとより一層ご飯も美味しくなると思って、いろんなフレーバーのクラフトビールを揃えています。何年か前までは、僕もこんなに種類があることも知らなかったですが、パストラミサンドなら、ワインのような酸味のあるサワービールが最高に合います!

ブルーとオレンジが基調になっているお店の内装も可愛いですが、ご自身で考えられたんですか?

はい。自分でも内装を考えるときに気が付いたのですが、僕が好きな街にはブルーとオレンジの色が使われていることが多いんです。ニューヨークも野球チームのカラーに入ってたり、レコードショップ時代に買い付けに行っていたジャマイカでも、オレンジ色の錆びたフェンスが多かったり。東京でも同じ発見があったので、この店のメインの色として選びました。

街はなぜ幡ヶ谷にしたんですか?

新しいお店と昔からある店だったり、若者からお年寄りまでが寄り添って馴染んでいる幡ヶ谷は、ブルックリンの街と似ている気がして。商店街がいまだに賑わっていて、新しいものと古いものが融合しているのが心地良くて、マイコも僕も、初めて幡ヶ谷の通りを歩いたその瞬間に「ここにいたい」と思ったんです。実際に、自分の子供が学校から帰ってきて「ただいま〜」と常連さんと話していたり、いい環境に恵まれたなと思います。

ジェレミーさんたちが地域の一部として街に受け入れられているからこそですね。今日はありがとうございました!

インフォメーション

フリーマン食堂

◯東京都渋谷区西原2-27-4 ☎︎03・6317・7262 12:00〜15:00・18:00〜22:00、土・日12:00〜22:00 月休

Instagram: @freemanshokudo