FOOD

FOREIGN RESTAURANT’S OWNER IN TOKYO

Vol.2『味坊鉄鍋荘」』の 梁宝璋さん / インタビュー土井光

2021.11.07(Sun)

interview: Hikaru Doi
design: Shoko Yoshida
edit: Yukako Kazuno

海外から来た方が日本でオープンした外国料理の店は、味はもちろんだけど、それと同じくらい店主の人柄や考え方が魅力的だったりする。各地のローカルな風を届けてくれる東京近郊の名店の店主を料理家の土井光さんと巡るコラム始まります!

『味坊』を知ったのは、中国料理に詳しい友人からのおすすめでした。鉄鍋料理・中国の東北料理をまったく知らなかったので、初めて伺ったときはかなりの衝撃。日本の鍋や焼肉とは全くスタイルが違います。ひとつの大きな鍋が出来上がるまで、おつまみをいただきながら飲み、ゆっくりじっくりと待って熱々の大ぶりな具材を食べる。まるで何千年前の料理のようなワイルドさと、素材を丸ごとを楽しむ調理法にワクワクがとまりません…暑い夏に、友人たちと大汗かいて楽しみたい!

梁さんが日本に来られたのはいつですか?

26年前、32歳のときです。その後、足立区で小さな料理屋さんをはじめました。

中国のお料理はすぐ受け入れられたのでしょうか?

はじめは、ジャガイモ料理や羊肉料理を出していましたが「これはなんだろう?」という反応が多かったです。当時、駐在している中国の人たちが多かった神田に移ってからは、どんどんお客さんが来てくれるようになりました。

現在「味坊」さんは都内に数軒ありますが、すべてのお店を梁さんが企画されたのですか?

はい。私は中国の東北にある黒竜江省の出身なので、故郷の東北料理を出しました。神田の1店舗目を16〜17年営業してから2店舗目を考えたとき、鉄鍋料理の専門店にしようと。「味坊鉄鍋荘」は、地元では定番の伝統料理なんです。

メニューの選び方は、鉄鍋の数を選ぶということですよね?

はい。お鍋を1種類もしくは2種類、と選んでもらいます。

鉄鍋は時間をかけて楽しむ料理なのでしょうか?

そうね。ゆっくり過ごしたいというお客さんが多いです。中国では大人数で鉄鍋を楽しみます。家庭の厨房にある鍋はひとつだけで、家族の人数によって鍋の大きさが変わっていく。家族の人数が多ければ多いほど、お鍋も大きいんです。ここのお鍋も、もちろん中国で買ってきたものです。

中国では暑い夏にも鉄鍋を食べるのですか?

これは日本とは違うところがありますね。中国では、夏でも熱い食べ物と飲みものを選ぶ。しゃぶしゃぶや、鍋料理を食べて汗をいっぱいかくことで身体を冷やします。

なるほど。冷たい水で身体を急激に体温変化させるのは良くないですもんね。流石中国…。鉄鍋で必ず使う食材はあるのでしょうか?

魚の鉄鍋もあるけど、お肉や野菜がメイン。東北地方の特徴だと、豚肉や鶏肉、羊肉、牛肉。野菜は、ジャガイモや発酵してる白菜、乾燥してる野菜もよく使っています。

いろいろ中国のことを教えてくれる梁さん。

発酵白菜はこちらで作っているのですか?

もちろんここで作っています。塩で発酵させる、いわゆる白菜の漬け物。中国の冬は長いから。今では新鮮な野菜も手に入るけれど、昔は野菜の種類も少なかったから漬け物にしていました。

鍋料理は東北の方にとって大事な料理なのでしょうか?

大事ですね。日本でも東北地方には、鉄鍋に似た煮込み料理があるので、日本人のお客さんにも合うと思います。

確かにそうですね。初めて食べたとき、どこか懐かしい感じがしました。

そう。でも日本の人の反応は「これって中華料理なんだ!中華のイメージが変わりました」って言われます。

嬉しそうな梁さん。

中華料理といえば、一般的には麻婆豆腐やチャーハンを想像しますよね。私も今まで東京でこういうお店に出会ったことがありませんでした。お鍋が埋め込めるテーブルはすごいですね。お店のデザインもご自身で手がけたのですか?

そうですね。青森の無垢を使ったテーブルのほか、キッチンを作って床も貼りました。

清潔感があって、綺麗でいいですね。時間も経って味が出てきている感じ。全ての店のディテールに目を向けていらっしゃいますが、普段はどちらにいらっしゃるのですか?笑

足立区に食品加工場を作ったので昼はほぼそこにいて、今はお店の野菜も作っています。

お店の食材まで! どちらでどんな野菜を作っているのですか?

畑の場所は、埼玉の八潮と、茨城のつくばみらい。野菜の種類はたくさんあって、空芯菜・インゲン・ナス・にんにく・小松菜・サツマイモ・パクチー・中国セロリ・唐辛子・じゃがいもも作りました。

小皿で提供されるお野菜も、もちろん自家製。

野菜は自分たちでまかなって、お肉は業者から購入しているのですか?

業者さんから買うこともあるけれど、お肉の卸しもしています。

びっくり(笑)。お肉は国産ですか?

ラム肉は輸入。オージー・ニュージー・アイスランド・ウェルズ・フランスなど、7カ国から輸入していて、豚は国産、健豚だよね。

どんな味わいなんでしょうか?

ヘルシーなお肉で、鶏肉と豚肉の間みたいだから、さっぱりしていてたくさん食べれるし飽きないのが特徴。ラム肉と似ていて、全店舗で使っています。

メニューに旅の写真が。

メニューにある旅行写真はなんでしょうか?

中国へは、常連さんと一緒に食べ歩きをしたときの写真です。朝から飲んで遊んで(笑)。そういうツアーを5〜6年前からはじめました。仲間や、お客さんのなかでも友達になった人たちと一緒に。申請してくれれば、誰でも行けますよ。

お店の壁一面に貼られた旅行の写真。見てるだけで行きたくなる。

ぜひポパイの取材で参加したいです(笑)。ありがとうございました!

プロフィール

梁 宝璋

味坊、味坊鉄鍋荘、羊香味坊、老酒舗、香辣里オーナー。ラムバサダー会員。

インフォメーション

味坊鉄鍋荘

台東区上野1丁目12−9 ☎︎03・5826・4945  17:00-21:00 月定休
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