カルチャー

仲川瑠夏は『シザーハンズ』のロマンチックな関係に魅せられた。

今日はこんな映画を観ようかな。vol.34

2026年9月30日

illustration: Dean Aizawa
text: Keisuke Kagiwada
edit: Togo Uchida

毎週、1人のゲストがオリジナリティ溢れる視点を通して、好きな映画について語り明かす連載企画「今日はこんな映画を観ようかな。」。今回はFRUITS ZIPPERの仲川瑠夏さんが、ティム・バートン監督の任期を不動のものにした『シザーハンズ』を紹介してくれた。


今日の映画
(ティム・バートン監督、1990年)
山頂にある屋敷で年老いた発明家が作り出した人造人間エドワード。しかし、完成間際に発明家は急死し、彼は両手がハサミのまま残されてしまう。化粧品のセールスで屋敷を訪れたペグは気の毒に思い彼を家に連れて帰り、娘のキムに恋をする。甘く切ない現代のおとぎ話。 エドワードはジョニー・デップが、キムはウィノナ・ライダーが演じている。

『シザーハンズ』
ディズニープラス スターで配信中
© 2026 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 これからはもっと映画を観漁ろう! そう決意した二十歳の頃に観た『シザーハンズ』は、それまでの私の映画との向き合い方をガラリと変えた、”どタイプ”な作品でした。


 まず、ストーリーが素敵なんです。主人公は、山の上にある屋敷の中で、発明家によって両手がハサミの人造人間として生み出されたエドワード。だけど、その発明家が亡くなってしまい、彼は山のふもとにある郊外の街へ下りてくる。見た目は近寄りがたいけど、誰より優しい心を持っている彼は、そこで一人の少女と恋に落ちるんですよ。結局は結ばれることを選ばず、また屋敷へ戻っていくんですけど……。そこからは一緒にいることだけが恋じゃない、愛にはいろんな形があるんだというメッセージが伝わってきます。実際、彼女はおばあちゃんになっても彼のことをずっと思い続けていて、そういう関係ってロマンチックだなぁと思いました。

しかも、この映画では、そういうストーリーが可愛くてポップな世界の中で描かれている。郊外の街に建つ家や部屋の中、人間たちが着ている洋服まで、美術がものすごくカラフルで、そこも大好きなポイントです。エドワードが庭にある木を恐竜の形にカットしたり、犬を芸術的にトリミングするシーンも印象的。それから、ダニー・エルフマンが手がけたサントラもすごくよくて、全部ダウンロードして日常的に聴いています。特に「Death!」って曲は、仕事に向かう早朝のタクシーの中で聴くのにちょうどいい(笑)。

 
 あとから知ったのですが、ティム・バートン監督自身は、「周囲にうまく馴染めなかった幼少期の自分」をエドワードに投影していたそうですね。それを知ったとき、すごく納得しました。私も学生時代、ちょっと変わったことを言うと「不思議ちゃん」って呼ばれちゃうから、自分の思考は話さずに「普通」に合わせようとしていた時期があったから。だからこそ、エドワードの孤独や不器用さに深く感情移入できたし、彼を包み込む女の子がまるで「降臨してきた救いの神」みたいに見えた。人とは違う魅力を持っているエドワードのような人に、私もなりたいです(笑)。

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