カルチャー

目指せGEEK WATCH図鑑!!! Vol.54

写真・文/久山宗成 a.k.a. Donald

2026年8月31日

photo & text: Muneaki Kuyama a.k.a. Donald
edit: Yukako Kazuno

3年ほど前だろうか? SNSに突如として「Sushi Watches」なるアカウントが登場した。日本から海外へ喜天烈な腕時計を紹介&販売するという、かなりニッチなやり方で、今やフォロワー数は9万人に到達。当然、GEEK WATCHのお客様からもその名前を度々聞くようになってきた。「Sushi Watches」って、なんじゃらほい?

というわけで今回は、ベールに包まれたSushi Watchesさんを取材するため、彼が住む関西へ弾丸取材を決行してきました。

ドナルド:そもそもSushi Watchesを始めたきっかけって何だったんですか?

Sushi Watches(以下、Sushi):もともと大学生の頃から、〈CASIO〉のちょっと変わった時計が好きで集めてたんです。最初は国内で売ってたんですけど、海外に転売している人から「自分で海外に売ったほうがいいですよ」って言われて。調べてみたら意外と自分でもできそうだったので、そこからですね。

ドナルド:時計を選ぶ基準ってあります?

Sushi:結局、一番は「面白いかどうか」です。新しいモデルを見つけた時が一番楽しいですね。有名かどうかとか、高級かどうかはあんまり関係ないです。

ドナルド:そこ、すごくGEEK WATCHと近いんですよね。機械式だから偉いとか、高級時計だから良いとかじゃなくて、「なんじゃこりゃ!」が先に来る。

Sushi:そうですね。僕もマニア的な知識を突き詰めるというより、見た瞬間に「面白い」とか「変だな」って思うものが好きです。

ドナルド:Sushi Watchesさんって、日本より圧倒的に海外のお客さんが多いですよね?

Sushi:ほぼ海外ですね。日本だと「ちょっと高いな」って言われるものでも、海外ではその時計自体の面白さを評価して買ってくれる人がいるんです。

作業机に並べられた、販売準備中の喜天烈な腕時計たち

左上は毛沢東が手を振るからくり腕時計。右上は〈ZUCCa〉のカラビナをモチーフにした腕時計。左下は〈SEAHOPE〉の電車の案内表示を思わせる腕時計。そして右下は〈ZUCCa〉の名作「DASHBOARD」

Sushi さんがSNSで紹介したことをきっかけに、海外での知名度や相場が上がったモデルもあるという。

ドナルド:日本では見向きもされなかった時計が、海外で突然スターになる。それって面白いですね。紹介したあとに値段が上がって、もう仕入れられなくなった時計もあると聞いています。

Sushi:あります(笑)。自分で紹介したあとに値段が上がって、「もう買われへんやん」ってなった時計もありますね。

ドナルド:とっておきの時計は、フォロワーに見せずに“まだSushi Watchesを知らない人用”に取っておくこともありますか?

Sushi:あります(笑)。「これは絶対反応あるな」っていう時計は、ちょっとキープしておいたりします。あと、「これはもう一回手に入らないな」と思うものは、自分用に残してますね。

ドナルド:そこが面白いんですよ。何千本も見て、売ってきた人が、それでも手放さなかった時計。僕はそこが一番知りたい。

Sushi:確かに(笑)。自分でも改めて並べてみると、「俺、こういうのが好きなんや」って分かりますね。

Sushiさんお気に入りの非売品コレクションボックス。派手で奇抜な時計ばかりを残しているのかと思いきや、意外にもシンプルで造形の美しい腕時計が多いのが興味深い

ドナルド:最後に。Sushi Watchesさんって、自分では時計屋だと思ってます? コレクター? それともメディア?

Sushi:何なんでしょうね(笑)。始めようと思って始めたというより、気づいたらこうなってました。

ドナルド:その答えが一番Sushi Watchesっぽい(笑)。「高級だから」「希少だから」ではなく、ただ純粋に、“これ、オモロいやん”から始まる伊豆さんの時計選び。

今回の取材を終えて気づいたのは、Sushi Watchesは単なる時計販売アカウントではない、ということだった。日本の中古市場に眠る奇妙な時計を発掘し、もう一度スポットライトを当て、世界へ送り出す。やっていることは、案外「時計屋」よりも「編集者」に近いのかもしれない。

というわけでSushiさん。これからは一人で遊ばず、みんなで「GEEK WATCH」という偏愛の病を世界中に伝染させていきましょう(笑)。

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ゲストプロフィール

伊豆博(Sushi Watches)

いず・ひろし|1977年生まれ。接骨院を営む傍ら、日本ならではのユニークで型破りな腕時計を世界へ紹介するコレクターとして活動している。その歩みは、学生時代に集めていた〈CASIO〉のガジェットウォッチをYahoo!オークションで販売したことから始まった。より多くの人に見てもらうためにInstagramを開設し、当初は国内のコレクターに向けて情報を発信していた。その後、海外販売を勧める声を受けてアカウント名を「Sushi Watches」に変更し、日本のGEEK WATCHを世界中のコレクターへ紹介するようになる。現在は、海外ではほとんど知られていない日本のユニークな腕時計を専門に扱うオンラインストアも運営している。Instagramのフォロワーは増え続け、「Sushi Watches」は接骨院と並ぶ自身のライフワークとなった。目標はフォロワー10万人を達成すること。そしていつの日か、世代を超えて語り継がれる「最高にバカで最高に楽しい」GEEK WATCHを自ら生み出すことである。

https://www.instagram.com/sushi_watches/

プロフィール

目指せGEEK WATCH図鑑!!! Vol.54

久山宗成 a.k.a. Donald

くやま・むねあき | 改造活動家、企画編集者、GEEK WATCH偏愛家。ワタリウム美術館のミュージアムショップ地下中二階にて、2014年より改造見世物小屋『+R.I.P. STORE』を営む。様々なマテリアルや手法を組み合わせてジュエリー、腕時計、プロダクト、舞台美術などを制作している。趣味的に始めてどハマりしたGEEK WATCHのコレクションは今や700本以上。現在『GEEK WATCH PEDIA』なる本を編集中。

Instagram
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