トリップ

懐かしい甘さを探し、歩き回る古都。

京都と鎌倉には何度でも行こう。

2026年6月28日

WHOLE CITY BOY CATALOG


illustration: Hattaro Shinano
text: Ku Ishikawa
2026年7月 951号初出

 やっぱりみんな、京都と鎌倉が好きなのだと思う。何度も語られてきた街なのに、あらたまって誰かの話を聞くと、また別の入り口が見えてくる。喫茶店で何もしない時間、昔からある甘いもの、旅の終わりに食べる洋食、賑やかな街の中にある静けさ。名所や新店を巡るだけでなく、その人がどこで立ち止まるのかに、街との付き合い方は表れる。〈YAECA〉デザイナーの服部恭子さんに聞いた、京都と鎌倉の好きな場所。この週末にでも行きたい。

 京都も鎌倉も、古都という言葉で語られる街ですが、私にとっては軽やかに歩ける場所です。京都は、昔からあるイメージをしっかりと守りながら、美味しい店や行きたい場所がどんどん増えていく。鎌倉は古都だけど、実際に足を運ぶと山や海との距離感の近さのほうが強烈に残ります。旅先ではいつも、その土地の土着的な食べ物を探します。昔から地元で愛されているお菓子や、お菓子屋さんそのものが好きなんです。

あぶり餅 本家・根元 かざりや

創業400年を数え、代々女性が一子相伝で味を受け継ぐ茶屋。ちぎった餅にきな粉をまぶし、竹串を刺して備長炭で炙る。仕上げは京都の白味噌をベースにした秘伝のタレ。お土産は3人前から。京都府京都市北区紫野今宮町96 ☎075·491·9402 10:00~17:00 水休※毎月1日と15日が水曜の場合は営業し、翌木が休み

 京都の『あぶり餅 本家・根元 かざりや』は、たしか初めて京都に行ったときに知ったお店です。大人になってから京都の印象は良い意味で変わっているけれど、いつもあのときの感動と一緒に旅したいと思っているので、あそこであぶり餅を食べるのは特別なこと。焼きたてをその場で食べるのが好きですが、お土産の包みもかっこいい。焼き場を見ながら席に着いて、何人前かを言うだけ。歴史の重さがありながら、開けた店内が仰々しくなくて、サッと座れるところがすごくいい。

納言志るこ店

看板メニューは、粒あんの「田舎しるこ」。大納言小豆を丁寧に炊き、こんがり焼いた餅を合わせた一椀で、緑茶と箸休めの伽羅蕗が添えられる。こしあん派には「御膳しるこ」、夏には宇治金時やクリームあんみつも。創業時から使うお椀やお盆も素敵。神奈川県鎌倉市小町1-5-10 ☎0467·22·3105 11:00~17:00 水、第3木休

 鎌倉の『納言志るこ店』は、人混みを避けて入った路地で、凛々しい看板を見つけて入りました。いつも頼むのは田舎しるこ。添えられた伽羅蕗もいいし、冬だけお雑煮があるのも嬉しい。中に入ると、外観のイメージそのままで、小さな椅子と少し学校のような規則的な机の並びがある。かっこいい店だなといつも思います。

プロフィール

懐かしい甘さを探し、歩き回る古都。

服部恭子

〈YAECA〉デザイナー

はっとり・きょうこ|1977年、静岡県生まれ。旦那さんの服部哲弘さんとともに、2002年に〈YAECA〉を立ち上げる。建築家・吉村順三が手掛けた住宅を中村好文が改修した、鎌倉の『ink gallery』など、ギャラリーでのキュレーションも担当。

Instagram
https://www.instagram.com/kyok.o_o/

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