カルチャー

シャバカ・ハッチングスが教えてくれた初夏に聴きたい30曲。

POPEYE MUSIC FORUM Vol.20

これDOW!?

cover design: Ken Kagami(DOW!?)
jingle: Metoronori(MUSIC FORUM)
special thanks: Shabaka, beatink
coordination & text: Ryoma Uchida
edit: Yu Kokubu

2026年6月23日

 夏の気配が近づいてきましたねー! 今回の「MUSIC FORUM」は特別編で、『サンズ・オブ・ケメット』や『ザ・コメット・イズ・カミング』でロンドンのジャズシーンを率いてきたシャバカ・ハッチングスが登場! 今年ソロ名義として3作目となる最新アルバム『Of The Earth』をリリースし、7月には来日公演も控える彼が、今のムードにぴったりな曲〜新作にも影響を与えた名盤〜おすすめのニューカマーまで、コメントと一緒にたっぷり教えてくれたよ。おまけのポッドキャストではPOPEYE Webチームのいつもの音楽好きメンバーらがその選曲を堪能中。本日のBGMに迷ったら“これDOW!?”ぞー!

↓ ポッドキャストの視聴はこちらから! ↓

※ポッドキャスト内で楽曲は流れません。サブスクにもあるけどもしも素敵な出合いがあったらレコードやCDで探してみてね!


選曲者
Shabaka Hutchings

01-今日の気分に合う曲は?

最近、Arsenal Mikebeという素晴らしいグループとライブをしました。彼らはウガンダのレーベル〈Nyege Nyege Tapes〉から作品をリリースしているんだけど、彼らの影響もあって、今はこういう高速でエネルギー全開の音楽を聴きたい気分なんです。彼らとのライブは、かつてSons of Kemetで活動していた頃に慣れ親しんだスピード感を思い出させてくれましたね。

02- ニューアルバム『Of The Earth』からポッドキャスト収録中に聴いてほしい1曲を教えてください!

「Those Of The Sky」ですね。これはアルバムの中でいちばん気に入っている曲。複数のメロディを調和させる緻密な対位法と、隅々まで作り込んだ作曲スタイルが特徴になっていて。今後の作品ではこうした方向性をさらに深く掘り下げていきたいと思っています。

03- D’Angeloの『Brown Sugar』がニューアルバムの制作に影響を与えたと聞きました。『Brown Sugar』に限らず、自らプロデュースし、自らが演奏するセルフプロデュース作品で、特に優れていると思う曲はありますか?

Georgia Anne Muldrowの『Ocotea』はまったく束縛のない創造性に満ちた、素晴らしいアルバムだと思います。
特に「The Language of the Flame」を聴いてほしい。

04-Shabakaさんにとって史上最高の音楽でのコラボレーションの一つは何ですか?

Wayne Shorter feat. Milton Nascimento「Ponta de Areia」。こういうコラボレーションを今の時代にも見てみたいですね。大物ポップスターと創造的な音楽シーンの重鎮が手を組み、親しみやすさを保ちながら、芸術的に前向きで新鮮な形で音楽を進化させていくような取り組みです。

05- Floating PointsやLaraajiと素晴らしいコラボレーションをされていますが、お気に入りのアンビエント/エレクトロニック作品を教えてください。

Actress「Ivy May Gilpin」、Tim hecker「Hatred of Music: II」、Colleen「I’ll Read You a Story」です。私は、自分の内面に浮かび上がる風景、そんな雰囲気の中に連れて行ってくれる曲が好きです。技術的な側面はそれほど重要視していません。完全に主観的で個人的なレベルで、自分にどんな感情をもたらすかが大切なんです。だから皮肉なことに、自分がより近い立場にいるアコースティック音楽よりも、エレクトロニック音楽のほうに感情的なつながりを感じることがあるんです(ハマると本当に深くハマるんです)。

06- 『Of The Earth』のサウンドデザインがとても印象的でした。他のアーティストの作品でサウンドデザインが特に優れている、あるいは音響的な質感が興味深いと思う曲はありますか?

JPEGMAFIA x Danny Brown「Garbage Pale Kids」ですね。JPEGMAFIAは現代最高峰のプロデューサーの一人だと思っていて、彼の音のパレットと発想力には本当に刺激を受けています。彼は自分が「最高にイケてる」と思う音楽を自由に作り、その流れに身を任せているように聴こえます。自分でミックスやマスタリングまで手がけていて、音楽をどれだけ個人的なものとして響かせることができるかという点でも型破りなんです。その自由さがとても好きですね。

07- 尺八演奏もとても印象的でした。禅的な感覚を呼び起こす曲を1曲挙げるとしたら

禅の感覚が何かを簡単には定義できないですが、もしそうしたものがあるのだとしたら、それは海童道祖の音、生き方、そして音楽への姿勢の中に表れているように思いますね。

08- お気に入りのジャズの曲をいくつか教えて!

ジャズにはさまざまな時代の素晴らしい曲がありすぎて、本当に選ぶのが難しいですね! 今ぱっと思い浮かんだものを紹介します。ジャズの魅力は、ヘッド(テーマ)が終わった瞬間に、「自分も即興の世界へ飛び立てそうだ」と感じさせてくれるところだと思います。

9- フルートやサックスの演奏が特に素晴らしいと思う曲はありますか?

Eric Dolphy「You Don’t Know What Love Is」はジャズ史上でも特に好きなフルート・ソロのひとつです。ドルフィーはどの管楽器を吹いても卓越していますが、フルートに関しては奇跡的なレベルだと思います。
そして、Courtney Pineは、当時のポスト・コルトレーン系サックス奏者の中で、誰よりも圧倒的な演奏をしていた人物だと思います。内なる炎を自身の音楽語法へ注ぎ込む。その強烈なエネルギーを維持し続ける力において、比肩する存在はいません。まさに自然の力そのものです。

10- お気に入りのヒップホップ・ソングは?

Westside Gunn「Jesus Crack」は何週間も繰り返し聴き続けた時期があります。両ラッパーのフロウが本当に深く、ドラムを排した構成によって、ボーカル自体がリズムを牽引しているところが大好きです。Billy Woods「No Hard Feelings」は未来のヒップホップ。それからTupac Shakur「Hellrazor」。最後のヴァースに向かって感情の高まりが頂点に達していくTupacのボーカルは、私にとってヒップホップ史上屈指のパフォーマンスです!

11- 初めて買ったレコードやCDで覚えているものは何ですか? また、その中で好きだった曲は?

Fugees「Bootleg Versions」、「Vocab (Salaam’s Remix)」が好きでした。

12- 子どもの頃に好きだった曲は?

Red Plastic Bag「Ragga Ragga」、Arturo Tappin「Java」、Dean Fraser「Love In The Seventh Heaven」。実は当時はジャズにはあまり興味がありませんでした。でも、バルバドス出身の地元のサックス・ヒーローである Arturo Tappin や、’90年代のレゲエやバッシュメントの作品の多くでサックスを演奏していた Dean Fraser の音楽は特に好きでしたね。

13- あなたにとっての傑作アルバムは?

D’Angelo「Voodoo」だね。私にとって傑作とは、捨て曲が一切なく、時間とともに成熟し、人生を重ねるにつれて新たに複雑さが見えてくるアルバムのことです。この作品は、その条件をすべて満たしています。

14- コンセプトが好きなアルバムはありますか?

MF DOOM「Mm..Food」。食べ物をテーマにしたアルバムを丸ごと作ろうって発想が最高です。それなのに、少しも奇をてらったり、わざとらしく感じたりしないところが素晴らしいですね。

15- お気に入りのライブ・アルバムは?

Jimmy Hendrix「Band of Gypsys」には、ものすごいエネルギーがあります。この作品がライブ録音として残され、スタジオ作品に作り替えられなかったことがうれしい。歴史に残るためには、時にライブのエネルギーだけで十分なんですよね。

16- お気に入りの映画のサウンドトラックは?

Björk「Selmasongs: Music from the Motion Picture Soundtrack『Dancer in the Dark』」

17- 歌詞が美しいと思う曲は?

Michael Cashmoreの「How God Moved At Twilight」かな。

18- 最近注目している新進気鋭のアーティストは?

The MerKaBa Brotherhoodの「Galgalim」を紹介したいです。アメリカのマルチ・インストゥルメンタリスト、エスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)に紹介してもらったのですが、このアンサンブルで演奏しているThe Cosmic Tones Research Trioの一員、Roman Norfleet の音楽がとても気に入っています。

19- 日本のアーティストで好きな人はいますか?

Bo Ningen! The Comet Is Coming として東ロンドンのシーンで活動していた頃、彼らも非常に活発に活動していました。ライブでのエネルギーは圧巻。ステージ上で、観客を魅了するようなシアトリカルな存在感も見事でした。

20- 春によく聴いていた曲は何ですか?

Faizal Mostrixx はダンサーでもあり、自ら音楽を制作しています。アーティスト自身を踊らせるような弾むグルーヴがあって、それは私にも同じように作用するんです。

21- 最後に、お別れに一曲お願いします!

それじゃ、最高のアルバム(Mega Album)でお別れを!

POPEYEのSpotifyページに全曲まとめておきましたので、こちらも良かったら聴いてみてね!

今回の選曲者

シャバカ・ハッチングスが教えてくれた初夏に聴きたい30曲。

Shabaka Hutchings

シャバカ・ハッチングス|1984年、ロンドン生まれ。サックス、クラリネット奏者、作曲家、マルチプレイヤー。ザ・コメット・イズ・カミング、サンズ・オブ・ケメット、シャバカ・アンド・ジ・アンセスターズなどのプロジェクトや、近年のソロ作に至るまでロンドンのジャズ・ シーンを牽引する中心人物。ついた異名は「UKジャズ界のキング」。

インフォメーション

シャバカ・ハッチングスが教えてくれた初夏に聴きたい30曲。

Of The Earth

自身が新たに立ち上げたレーベル〈Shabaka Records〉からリリースした、ソロ名義として3作目となるアルバム。全編にわたってシャバカ自身が作曲・プロデュース・演奏・ミックスまでを手がけた、極めてパーソナルな作りが特徴。楽器との関係を見つめ直しつつ、ラップにも挑戦した。サンズ・オブ・ケメット以来展開してきたリズミカルなグルーヴと、近年のソロ作品における緻密さが合流した新境地ながら、傑作だ。

アルバムの詳細はこちら!
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15591


SHABAKA "Of The Earth"

現代UKジャズシーン最前線を更新し続けるシャバカがついに『ブルーノート東京』に降臨する。最新作『Of The Earth』を携え待望のステージを披露。変化を続ける彼の現在地を見逃すべからず。

日程:2026年7月29日(水)、7月30日(木)、7月31日(金)
時間:1st:Open17:00/ Start18:00、2nd:Open19:45/Start20:30
メンバー:シャバカ・ハッチングス(サックス、フルート、キーボード)、オースティン・ウィリアムソン(ドラムス)
ミュージックチャージ:¥9,900(他、座席によってシートチャージもあり)

予約はこちらから
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/shabaka/

番組概要

シャバカ・ハッチングスが教えてくれた初夏に聴きたい30曲。

これDOW!?

POPEYE Webの記事を眺めながら聴く『これDOW!?』は、モノをきっかけに編集者らがエデュケーションしていく番組。街をぶらぶらして偶然見つけたモノや取材時に出合ったモノを考察してみたり、タイトル通り「これDOWなんだろう?」といった価値のよくわからないモノなどを囲んで雑談中です。ときにはゲストと一緒にモノを作ってみたりもね(更新は不定期です)。メインチャンネル『POP-EYE MEETING 編集会議』もよろしくお願いいたします。

📩 メールアドレス
popeyeweb@magazine.co.jp

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