カルチャー

偉大なる現役文筆家たちの到達点を祝福すべく読みたい3冊。

1月はこんな本を読もうかな。

2025年1月1日

text: Keisuke Kagiwada

『偉大な作家生活には病院生活が必要だ』
中原昌也(著)

現在、大病を患い車椅子での生活を余儀なくされている著者が、その前後に発表したエッセイや短編小説などが収録されている。のだが、やはり注目は入院中のあれこれが語られる表題作。以前は「書くことがない」「書きたくない」と書きまくっていた著者が、なんと「(入院生活は)思考回路のアドベンチャーはすごくあって、こういう考えを小説にまとめたい」というのだ。一読者として、ぜひ読みたい。¥2,200/河出書房新社

『そこから先は別世界 妄想映画日記2021 – 2023』
樋口泰人 (著)

映画批評家であり、爆音上映をはじめとするあらゆるイベントから映画作品自体のプロデューサーとしても活動する著者が、2021年から2023年の間に綴った日記。いつも体は絶不調だし、かつ資金も潤沢ではない。70歳はもう目前に迫り、精も根も尽き果て、できれば隠居をしたい。そんなことをぼやきながら、老若男女問わず周りの人々に触発されると動かずにはいられない著者の姿勢は、混迷するカルチャー界にとって希望の星。だから、本書を読んだ後は、速やかに著者が運営する有料ウェブマガジン「boidマガジン」に登録しなければならない。¥4,180/boid

『ヘビトラ大図鑑 HEAVY DUTY TRADITIONAL』
小林泰彦 (著)

1960年代より、国内外のカルチャーを紹介し続けてきたイラスト・ルポの第一人者であり、今もなお色褪せることのないシティボーイの虎の巻『ヘビーデューティーの本』の著者としても知られる小林泰彦さん。間もなく90歳を迎えるそんな小林さんの新著がこちら。22体のオールカラー描き下ろしのヘビトラ図鑑に始まり、文化的背景を考察したエッセイ、それからW.デーヴィッド・マークスさんとの対談などを通して、ヘビトラの魅力が掘り下げられる。ヘビトラとはもちろん、「ヘビーデューティートラディショナル」のことだけど、ヘビ年も近いし、読書はじめにピッタリじゃないか。¥2,750/トゥーヴァージンズ