フード

東京おにぎりパトロール。Vol.11

2024年9月30日

東京おにぎりパトロール。


photo: Yuki Sonoyama
text: Eri Machida

三越前/八木長本店

ひとくちおにぎり¥275
金が酢飯、赤がかつおぶしと自家製梅干し、緑が鮭ほぐし身と白いりごま、オレンジがはりはり漬けと金いりごま、青がこんぶ佃煮と黒いりごま。

食材の長所を熟知した老舗が作った出汁の旨みが詰まったおにぎり。

 1737年に創業した『八木長本店』は、羅白昆布、鰹節、煮干しなどをはじめとする出汁の材料をメインに販売する日本料理の食材店。都内の歴史ある料亭や割烹にも提供しており、実は店の片隅におにぎりもある。ひとくち大のおにぎりは全5種類で、出汁で炊いたご飯の周りに削りたてのかつお節がついており、「自家製梅干し」以外にはごまが混ざっているのが特徴だ。オーソドックスな白ごまは「北海道産の鮭」、ナッツのような香ばしさがある金ごまは「三浦半島の割り干し大根はりはり漬け」、和えものに合う黒ごまは「日高昆布」と、国産の上質な食材の特色に合わせてごまを使い分けており、食材を知り尽くした専門店だからこそ作ることができるバランスのいい一品だった。寿司酢を使ったおかかのおにぎり「スリースター」はミシュラン三つ星の名店の主人からレシピを教わりメニュー化したもの。全て添加物不使用で、味付けを最小限に抑えているから、出汁本来の旨みが味わえる。そのままでももちろん、家に持ち帰りお茶漬けにするという楽しみ方もある。

インフォメーション

東京おにぎりパトロール。Vol.11

八木長本店

おにぎり2個と出汁カップのセット(660円)も販売しており軽食にぴったり。出汁は関東風のかつお、関西風のいりこ、野菜の3種類で、干し椎茸から出汁をとった「野菜だし」はヴィーガンでも食べられるため海外のお客さんから人気。

◯東京都中央区日本橋室町1-7-2 ☎︎03・3241・1211 10:00〜18:30

Official Website
https://yagicho-honten.tokyo/

都立大学/なかよし・うおよし

左からとうもろこしごはん¥160、えだまめごはん¥140、漁師飯¥140

駄菓子屋で手に入る専門店顔負けのおにぎり。

 2021年に柿の木坂にできた『駄菓子や なかよし・うおよし』。公園の目の前にあるため軽食のニーズもあり、オープン当初からおにぎりも販売。店主・北澤尚文さんの出身地・佐渡のこしひかりをミネラル豊富な日本海の海洋深層水で炊き上げており、こだわりは専門店さながら。平日は、和風の「ツナマヨ」、「しば漬けクリームチーズ」、「高菜明太」などバラエティ豊かな10種類が並び、土日は土鍋で炊いた「とうもろこしごはん」、「さつまいもごはん」、「たけのこごはん」など旬の食材を使った限定メニューも登場。一番売れるのは味噌の風味をつけた「鮭」で、子どもからの人気が高いのは海苔とおかかを醤油で和えて混ぜご飯にし、外側にとろろ昆布をつけた「漁師飯」。栄養満点のご飯も食べられる現代の駄菓子屋の姿がここにあった。

インフォメーション

東京おにぎりパトロール。Vol.11

駄菓子や なかよし・うおよし

区立図書館やホールがある『めぐろ区民キャンパス公園』の目の前にあり、休日は子供たちで大賑わい。懐かしの駄菓子がずらっと並び、大人が見ても気分が高まる充実のラインナップ。店内にはカフェスペースもありイートインも可能。2階のレンタルスペースは、子どもたちの誕生日パーティー、ワークショップ、中高生向けのボードゲームカフェなどに利用され、地元の方々の憩いの場になっていた。昭和12年創業の魚屋『魚由』の跡地にできたことが店名の由来。

◯東京都目黒区柿の木坂1-34-15 ☎︎03・4361・4281 11:30〜18:00 月・火休

Instagram
https://www.instagram.com/nakayoshiuoyoshi/

椎名町/お米とおむすび なみ木

左からお赤飯¥158、黒胡麻担々味噌¥198、しそとひじきの玄米むすび¥168

米屋だからこそ味わえるベストコンディションのお米。

 昭和初期から椎名町にある米屋『並木米穀』が1979年から始めた家族経営のおにぎり店『なみ木』。農薬や化学肥料を抑えて作った「特別栽培米」を使用し、具材にも化学調味料を入れていない。王道の鮭、梅、おかか、昆布のほかに、変わり種の「うに」、天むすのたこ焼きバージョン「たこむす」など常時20種類が並び、店主・小木曽さんの好みで「ガパオ」、「焼鯖と青唐味噌」、豚ひき肉を豆板醤、黒ごまで味付けした「黒胡麻担々味噌」などピリ辛味も揃う。赤飯や玄米も人気で、北海道産の小豆を使った「お赤飯」は、うるち米ともち米を半々で混ぜているため固くならず食べやすい。玄米は8時間以上水に浸しているため甘みが強くもっちりとした食感。米は時期によって変わるが、現在は、冷えても美味しくベタつかない佐賀県産の夢しずく。前日に精米したばかりの米で握ったおにぎりが食べられるのは米屋ならでは。

インフォメーション

東京おにぎりパトロール。Vol.11

お米とおむすび なみ木

おはぎ、大福、お団子など和菓子も販売。トマトのガスパッチョなど、季節に合わせたスープを用意していることもあるので、見つけたらおにぎりのお供にテイクアウトしてみよう。

◯東京都豊島区長崎1-3-11 ☎︎03・3973・3100 8:00~18:00 月休、火不定休

Official Website
http://omusubiya.com/

POPEYE ONLINE STORE

10/6まで延長オープン!