カルチャー

さーて、1月はどんな展示に行こうかな。

初詣も兼ねて訪れたい展示4選。

2024年1月8日

未完の始まり:未来のヴンダーカンマー
@豊田市美術館

展示
リウ・チュアン《リチウムの湖とポリフォニーの島Ⅱ》2023年 Courtesy of the artist

「ハンマーカンマー」はハリウッドザコシショウ。”驚異”という意味では近いかもしれないが、こちらは「ヴンダーカンマー」なのでお間違えなきよう。「ヴンダーカンマー(驚異の部屋)」とは、15世紀から18世紀にかけてヨーロッパの王侯貴族の邸宅に設けられた、ミュージアム(博物館や美術館など)の原型だといわれているものだ。小さいながらも豊かな空想を刺激する空間。そんなミュージアムそのもののあり方を考える試みとして、本展ではリウ・チュアン、タウス・マハチェヴァ、ガブリエル・リコ、田村友一郎、ヤン・ヴォーの実践とともに、改めてミュージアムと社会との関係や、展示における政治的・美学的意義を探る。今年4月26日に、豊田市美術館の隣接地に総合博物館(設計:坂茂)が開館することが契機となった本展示。欧米では、植民地時代に収奪されたコレクションや白人男性中心の美術史の再検討といった見直しがすすむなか、ミュージアムの未来とは何かを模索する。一年の始まりは”未完の始まり”からいかが。

インフォメーション

未完の始まり:未来のヴンダーカンマー

会場:豊田市美術館
会期:2024年1月20日(土)〜5月6日(月・祝)
時間:10:00〜17:30(入場は17:00まで)
休み:月曜日(※ただし2月12日、4月29日、5月6日は開館)
料金:一般1,500円、高校・大学生1,000円、中学生以下無料(前売り、オンラインチケットあり。詳細はサイトにて)

公式サイト
https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/wunderkammer/

MEDIA PRACTICE 23-24
東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻 年次成果発表会/修士課程修了制作展
@東京藝術大学元町中華街校舎/BankART Station

東京藝術大学って実際どんなことしているのさ?! 気になるあなたに朗報なのが本展「MEDIA PRACTICE 23-24」だ。東京藝術大学大学 院映像研究科メディア映像専攻の修士課程の学生による成果発表の展覧会であるこちらは、横浜・元町中華街校舎、BankART Stationの2会場での同時開催で、各学年の作品発表を公開。映像、インスタレーション、ゲーム などのインタラクティブ、パフォーマンスやVRによる上演作品などなど、学生たちの新たな実践や想像力が立ち上がる現場にぜひ立ち会おう!

インフォメーション

MEDIA PRACTICE 23-24

会場:東京藝術大学元町中華街校舎/BankART Station
会期:2024年1月12日(金) 〜 14日(日)
時間:11:00〜19:00
休み:会期中無休
料金:無料/予約不要

公式サイト
https://fm.geidai.ac.jp/media-practice/2024/

寺山修司没後40年記念
ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市
~昭和の激動が生んだ熱狂アングラカルチャー~
@Bunkamura Gallery 8/

1960年から70年代の日本が目覚ましい発展を遂げた高度経済成長期。経済や文化のみならず、人々の価値観も大きく変化した時代。空洞化した社会に対する反抗が生まれ、既成のものを破壊し新たなものを創造するエネルギーが渦巻いた。なかでもアングラカルチャーの実験精神にはいつ見ても驚くばかり。寺山修司や唐十郎らによるアングラ劇団、土方巽による暗黒舞踏などが代表されるが、そこで重要な位置を占めていたのがポスターだ。宇野亞喜良・金子國義・横尾忠則らレジェンドともいえるアーティストが手がけたポスターは単なる広告の枠を越えていた。保守的な世の中からの解放を求め、新たな表現の再構築を試みたアングラカルチャー。その熱気に触れてから2024年の幕開けだ!

インフォメーション

寺山修司没後40年記念 ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市 ~昭和の激動が生んだ熱狂アングラカルチャー~

会場:Bunkamura Gallery 8/(渋谷ヒカリエ8F)
会期:2024年1月13日(土)~1月28日(日)
時間:11:00~20:00
休み:会期中無休
料金:無料

公式サイト
https://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/240113avant-garde.html

「隠れた山」シム・チーイン
@脱衣所 – (a) place to be naked

シム・チーイン《The Mountain That Hid》2022年 Courtesy of the artist

初詣には登山をしたという人も多いかもしれないが、”隠れた山”を鑑賞しに行くのはいかがだろう。こちらはシンガポール出身のアーティスト、シム・チーインの日本初個展タイトルであり、映像作品名だ。シムが探求するのは、かつて第2次世界大戦で日本の占領に抗ったマラヤ民族解放軍が、英領マラヤ(現在のマレーシアとシンガポール)で英国植民地軍と戦った1948年から1960年のゲリラ戦の争われた歴史。本展では植民地時代の歴史を、作家の個人的な物語を通して読み解く映像作品・アーティストブックが紹介される展示となっている。一人の人間、一つの場所、そんなミクロな視点から隠された大きな歴史の残像が見えてくる。年が明けても未だ続く、さまざまな争いについて考える一助にもなりそうだ。

インフォメーション

「隠れた山」シム・チーイン

会場:脱衣所 – (a) place to be naked
会期:2024年1月6日~1月24日
時間:12:00~18:00(事前予約制)
休み:日曜日、月曜日、火曜日
料金:500円
予約:https://themountainthathid.peatix.com/

公式サイト
https://datsuijo.com/
https://www.instagram.com/datsuijo/