カルチャー

さーて、9月はどんな展示に行こうかな。

残暑を避けながら辿り着きたい展示4選。

2023年9月8日

ミュージアム・ワークス—みんなの知らない美術館
@諸橋近代美術館

ミュージアム・ワークス ポスター
アルフレッド・シスレー 《積み藁》 1895年

 自販機の中身を入れ替えているのを目撃するとぼーっと見入っちゃったり、映画のとあるワンシーンをどうやって撮影しているのか気になったり、どうにも裏側が気になるのが人間の性というやつなのだろう。美術館にも、私たちが美術を鑑賞する場”だけ”ではない裏の顔があるらしく、そんな部分にフォーカスした本展も大いに気になる。「作品収集」「展示」「調査研究」「教育普及」「保存」といった活動のなかからとりわけ「保存」に注目し、どのように作品が公開へと至るのか、その知られざる美術館の努力と工夫に触れられる。といっても勉学ではなく、あくまで展覧会。セザンヌ、ダリ、マリー・ローランサンやシスレーなど誰もが知るアーティストの作品を見て楽しみながら探究できる!

インフォメーション

ミュージアム・ワークス—みんなの知らない美術館

会場:諸橋近代美術館
会期:2023年7月15日(土)〜11月12日(日)
時間:9:30〜17:00(最終入館は16:30まで)
休み:会期中無休
料金:一般1,300円、高校・大学生500円、中学生以下無料

公式サイト:https://dali.jp/exhibition

吹けば風 Incoming Breezes
@豊田市美術館

豊田市美術館「吹けば風」展 船川翔司《Hey, _》
船川翔司《Weathering with island》2021年 ミクストメディア 撮影:船川翔司

 豊田市美術館で現在開催中の展覧会『吹けば風』。思いがけず感じる清風や偶然目にとまった道端の花など、いつもなら見過ごしてしまうような細かな発見や驚きに注目し、体験を見つめなおすという趣旨のもと、川角岳大、澤田華、関川航平、船川翔司ら4名のアーティストが参加。この展示タイトルは、明治生まれの詩人・高橋元吉が詠んだ詩の一節「咲いたら花だった 吹いたら風だった」からきていて、”それ”が何なのかわかるまでは「なにか得体の知れないもの」でよいと言う詩人の言葉には、日常を生きる上での大事なマインドのヒントがありそう。先月は異常な猛暑続きでうんざりだったけど、ようやく涼しい風が吹いてきた。感性を刺激する作品群に出会って、一足はやく芸術の秋の訪れを感じに行こう!

インフォメーション

吹けば風 Incoming Breezes

会場:豊田市美術館
会期:2023年6月27日(火)〜9月24日(日)
時間: 10:00-17:30(入場は17:00まで)
休み: 月曜日(ただし7月17日、8月14日、9月18日は開館)
料金:一般1,300円、高校生・大学生800円、中学生以下無料

公式サイト:https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/incoming_breezes/

川端 明里 個展「山はなにもはなさない」
@亀戸アートセンター

川端 明里 作品メインビジュアル

 川端は、大学でワンダーフォーゲルサークルに入ったのを機に山の存在に魅了され、学生時代から一貫して「山」をテーマに作品を制作している作家。山へ行くのは、登頂を目的とするピークハントではなく、それよりも遠くから山を見た時に「あの中に一体何があるんだろう」といった思いが強くあるからなのだそう。自分が生まれるずっと前から存在する巨大な存在。そんな山に対して、人々は昔から和歌を読んだり、命懸けで登ったり、絵に描いたりと様々にアプローチをしてきた。本展で作家は、偶然性に影響されやすく、自然との親和性も高い陶芸というメディアで表現をする。大小合わせて30点以上の作品は「薪窯」で焼成され、その時の環境でしか生まれ得ない唯一無二の山々の色合い、表情を引き出している。何も「話さない」そして心を掴んで「離さない」山が静かに佇み、鑑賞者を待っている!

インフォメーション

川端 明里 個展「山はなにもはなさない」

会場:亀戸アートセンター
会期:2023年9月2日(土)〜 9月17日(日)
時間:16:00〜22:00(平日)/13:00〜19:00 (土日)
休み:木曜日
料金:無料

公式サイト:https://kac.amebaownd.com/posts/46484582?categoryIds=1764028

虫めづる日本の人々
@サントリー美術館

きりぎりす絵巻
きりぎりす絵巻(部分) 住吉如慶 二巻のうち 江戸時代 17 世紀 細見美術館 【全期間展示】(ただし場面替えあり)

 いつのまにかセミからコオロギが鳴く季節になりましたね。いや、夏から秋になったということが言いたいのだけれど、もっと巧みに比喩として「虫」を使って文章が書かれているのが『源氏物語』や『伊勢物語』。鈴虫、松虫などの鳴く虫や蛍は登場人物たちの心情を表す重要な役割を果たしていた。物語や和歌、日本美術でも、「草木花鳥」といったテーマに負けずとも劣らず「虫」も重要なモチーフの一つなのであった。本展では特に江戸時代に焦点をあて、中世や近現代の「虫め(愛)づる日本の人々」の様相に触れつつ、虫と人との親密な関係を改めて見つめ直す。喜多川歌麿や伊藤若冲など見どころ満載だが、なかでも江戸時代中期の娯楽「虫聴」(野山へと出かけ、虫の音に耳を澄ませる)は、趣がありすぎるので今からでもやってみたくなった。「ムシキング」に熱狂していた当時のキッズたちもぜひ虫めづってほしい!

インフォメーション

虫めづる日本の人々

会場:サントリー美術館
会期:2023年7月22日(土)~9月18日(月・祝)※会期中展示替えあり
時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)、9月17日(日)は20時まで開館。※入館は閉館の30分前まで
休み:火曜日(※9月12日のみ18時まで開館)
料金:一般1,500円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料(詳細は公式サイトへ)

公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2023_3/index.html