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伊藤英明が嫉妬した、三池崇史監督製作の韓国ドラマとは!?
2022年12月28日
text: Momoko Yasui
「コネクト」と呼ばれる不死身の新人類の青年。あるとき臓器売買集団に眼球を奪われ、眼を移植された相手と視界を共有するようになる。そしてその眼球の持ち主は、猟奇的殺人鬼だった――。このゾクゾクするようなあらすじは、『殺し屋1』『悪の経典』などを手がけた三池崇史監督がオール韓国キャスト、スタッフで制作した配信ドラマ『コネクト』のもの。
制作は、『愛の不時着』のスタジオドラゴン、主演は『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』でヒロインの年下彼氏を演じたチョン・ヘインが、その甘いイメージをかなぐり捨てて暴れまくる。同じように、これまで4本の三池作品で暴れてきた俳優・伊藤英明さんもいち早くこのドラマを視聴。三池組の過酷で映画愛に溢れた撮影を知っているからこそ語れる感想が届いた!
伊藤英明(以下、伊藤) 「最初のシーンから、もうガガっと来ました。これは初っ端から三池監督の世界に引き摺り込んでくるな、と思ったので、なぜだか身構えて、ムムっと魂を持っていかれないように踏ん張ってしまいました。けれどそんなの全然、無意味でした。ストーリーが進むにつれて、どんどん持っていかれた。面白くてたまらない……。
三池監督とは、ローマ、ベネチアなど世界の映画祭にもご一緒させていただいたことがあります。そこで改めて世界各地に三池ファンがいることを実感しました。
今回はストリーミングですから、世界の人が同時に共有できますよね。ドラマサイズですが、1話1話がスリリングで映画っぽく、それぞれまったく違う作品にも見える。とにかくゾワゾワくるし、考えさせられて、何度見ても楽しめる。しかもこの作品は、エンタメの世界最先端のひとつである韓国のチームに挑んで作られているんですよね。ああ、やっぱり監督が目指しているのは、世界なんだなぁと改めて感じました。そこに自分がいないことがすごく悔しい。願わくば僕も一緒に、今回の三池監督の世界への挑戦にご一緒させていただきたかった。ひとりの役者として個人として世界に出ていく、ということも大事ですが、作品が世界に出ることがやっぱりいいなぁと思うんです」
——サイコパスを演じた『悪の経典』、宇宙で昆虫となって戦う『テラフォーマーズ』など壮絶な作品の数々で三池組を体験した伊藤さん。その撮影での印象は?
伊藤 「三池監督は人を惹きつける華がある方で、常に役者のことを見ていて、垣根を立てず一緒に役をつくってくれる監督です。僕がご一緒した作品では、リハーサルもないし、記録さんもいなくて、現場に入ったらすぐに本番。非常に自由にやらせていただきました。言葉じゃない、説明じゃない、その役者が持っている雰囲気だったり、内面から出てくるオーラだったりエモーションをすごく大事にされる印象です。だから僕は三池組の撮影では、うまくセリフを言わなきゃ、うまく発音しなきゃ、なんてことよりも、自分がどう生きてきて、役に自分の人生をどう投影させられるかを優先して考えるようになりました。きっと世界のエンタメでは、監督も役者もそういうところで戦っているのではないでしょうか。
自分の役者としての生き方を引き出してくれる、そういう監督に出会えたと思っています。きっと『コネクト』の役者さんも、撮影中そういう風に感じたんじゃないでしょうか。だからなおさら、羨ましいし、悔しい(笑)」
——『コネクト』に出演するとしたら、どの役を演じてみたいですか?
伊藤 「そんなことは考えたくない! 『コネクト』は『コネクト』としてもうでき上がった作品なんで。だから余計悔しいんですけどね。俳優って役を与えられて、その役の人生と向き合う仕事。そりゃ、いちファンとしてはこの役やりたいってのはありますよ、でもそれを言うのはプライドが許さないというか(笑)。だからこれからはまた三池監督と、例えば時代劇とか違う作品で、一緒にやりたいなという思いが募りましたね」
——最後に『コネクト』が見逃し厳禁の理由、一視聴者として、伊藤さんが感じる見どころを教えてください。
伊藤 「今作はいくらでも世界を変えられるのが面白いと思いました。主人公の眼玉が、悪のもと、サイコパスのもとに行かなかったら!? 愛に溢れるところに行っていたら!? とか考えると全然違った話になる。そういうことを楽しみにさせてくれますよね。恨みとか痛みとか悲しみとか悔しさ、そして愛、人間の持っているあらゆる感情を描くのが三池監督ですからね。
でもやっぱり一番の見どころは、不幸で不運、そんな状態にある主人公が、常に死を見つめながらも、死ぬことはない、という摩訶不思議な設定。もういろんな最高なシーンがありすぎて、どこをどう切り取って説明したらいいかわかんないですけど(笑)、人って死ぬ時にすべてを知って死ねたらいいじゃないですか、でも死なないからひたすら不運が繰り返される。もうこれは悟りの境地みたいな作品です。
この作品が世界に同時配信されるってすごいですよ、しかもディズニープラスなんですよね!?三池さんがディズニープラスで、ものすごくテーマ性に踏み込んだこの作品を撮ったことで、エンタテインメントの可能性、道がひとつ広がったと思います。サブカルチャーのイメージがある三池作品が韓国クリエイターと一緒にディズニープラスでっていうところも、何が生まれるのか!?っていうワクワク感がありますよね。三池ファンも、初めて三池作品に触れる方も、間違いなく楽しめる。
そして僕自身も、本作を見ていると、三池監督とやってみたい作品のアイディアがどんどん出てきました。誰にとってもきっと、目から鱗、視野を広げてくれる作品だと思います」
インフォメーション
コネクト
映画鬼才・三池崇史監督×スタジオドラゴン×新生代スター俳優チョン・へイン奇跡の日韓合作プロジェクト。最強の不死身新人類vs.最恐の猟奇殺人鬼が激突、超過激バイオレンススリラー。ディズニープラス スターにて、全話独占配信中!
ハ・ドンスはどんな大怪我でもすぐに治してしまう不死身の新人類”コネクト”。ある日、彼は謎の臓器売買組織に誘拐され、片眼を奪われてしまう。その後、失ったはずの眼から時々不思議な光景が見えるようになるが、なんとドンスはソウルを恐怖に陥れた猟奇殺人鬼と視界が共有されていたのだった−。奪われた眼を、そして人生を取り戻すために、ドンスはあらゆる手を使って殺人鬼を追い続けるが…。
監督:三池崇史
製作:スタジオドラゴン
脚本:NAKA雅MURA、ホ・ダム
出演:ハ・ドンス:チョン・ヘイン、オ・ジンソプ:コ・ギョンピョ、チェ・イラン:キム・へジュン、チェ刑事:キム・レハ
プロフィール
伊藤英明
いとう・ひであき|1975年、岐阜県生まれ。1994年俳優デビュー。三池作品では『スキヤキ・ウエスタンジャンゴ』『悪の教典』『喰女-クイメ-』『テラフォーマーズ』に出演。『WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~』で第38回日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞。2023年1月27日には映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』(監督:大友啓史)が公開予定。
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