TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#2】奈々福の浪曲的生活
執筆:玉川奈々福
2026年5月22日
よく聞かれるのが「どうやって喉のケアしているのですか?」ということです。
浪曲は、大道芸が出自の芸なので、大きな声で「うなり」ます。アクロバティックな喉の使い方をします。声帯に負担をかけます。なので、皆さんそこに興味があるようで。
といって人と比べて喉が強いわけでもないです。負担掛け続ければ、傷めます。もう、どんだけ傷めてきたことか。
わりと最近の話。先月末。その日の夜、尊敬する落語の師匠との二人会、二席やる予定の日の朝、起きたら……声、出ない。ぴたり、出ない。うっひゃ。
さて……と、考える。
まず起き抜けに、丁寧にうがいをします。そしてぬるま湯をコップ一杯飲む。これは毎日していること。
しかし、今回の原因はなんだろう。前日酷使したわけでも寝不足なわけでもない。あとから、布団が原因だったと思い当たりました。夜、冷えた。
でも、ここで慌ててよいことはひとつもない。
水分を十分とったあとは、まず体をほぐします。ゆっくりストレッチ。とくに、脇、肺まわり、首まわり。そして漢方薬の「桔梗湯」をお湯に溶かして、うがいをしながら、ごくり、飲む。
それから朝ごはん。こういう日は、スムージーとかでごまかさず、しっかり固形物を食べる。喉のためにその1は、「咀嚼と嚥下」! 喉の体操としてとても大事。ということでご飯と味噌汁とおかず。食後、ペラック錠を飲む。トラネキサム酸配合の喉薬。本当はお医者さんからいただく薬がよいのだが、いまは切らしているから市販薬。
そして、声は使わず、ただ喉を潤すことを心掛ける。水を極力とる。お茶とかではなく、水。あと、喉を潤すものとしては、台湾で売っている「潤喉王」という薬も大変役立つ。舐めていると喉がじゅわ……と潤うのがわかる。お昼ご飯もしっかり固形物を食べる。ペラック、飲む。そうすると少し声が出てくる。ここで、以前に教わった発声練習。ふだんは発声練習なんてしないのだが、こういうときには、小さな声で少しずつ声帯を動かし始めることをする。吐く息で極力小さな声を出す。吸う息で、極力小さな声を出す、これを低い声から高い声へ、順次やっていく。
さて夕方、楽屋入りです。喉潤す最終手段として、これまた漢方薬「麦門冬湯」というのがあります。咳がひどいときの漢方なんですが、これまたじゅわっと、効く。「潤喉王」+「麦門冬湯」。お水もたっぷり飲んだあと、出の直前に立川晴の輔さんに推奨された「龍角散ダイレクト」。
で、ばっちり出ました。うふふ。ああ、今日もしのげてよかった。
でも、一番喉の改善に効くことは、以上のことではありません。ここまでのことは、朝起きて出ないときの応急処置。
声の状態が良くないとき、いっちばん聞くのは、湯舟に浸かることと、睡眠です。
プロフィール
玉川奈々福
たまがわ・ななふく|神奈川県横浜市生まれ。1995年、曲師として二代目玉川福太郎に入門。師匠の勧めにより浪曲も覚え、2001年に浪曲初舞台。2006年、美穂子改め玉川奈々福として名披露目。さまざまな浪曲イベントをプロデュースする他、自作の新作浪曲や、長編浪曲も手掛けるほか、海外公演を行うなど、多岐に渡って活動。第11回伊丹十三賞受賞。著書に『浪花節で生きてみる!』(さくら舎)『語り芸パースペクティブ―かたる、うなる、よむ、はなす』(晶文社)がある。
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