フード

ケーキ、喫茶メニュー、お惣菜まで。前進し続ける創業57年の喫茶店、用賀『ル・モンド』。

12月はこんなお店に行ってきた。

2024年12月29日

photo: Naoto Date
text: Eri Machida

ニューオープンやリニューアルして行きやすくなったお店、新メニューが出た老舗や最近やたらと友達が行っている店など、なにかと気になる飲食店を毎月紹介する連載。

さっぱり味の和風きのこスパゲッティ¥1000 サラダとコーヒーまたは紅茶付き。上に乗っているセロリの葉の爽やかな香りが良いアクセントになっていた。

「長いこと働いているから家でじっとしているのも大変よね」。そう話すのは、用賀駅、上野毛駅どちらからも徒歩15分ほどの住宅街に佇む老舗喫茶店『ル・モンド』店主の斉田朋子さん。1967年から続く喫茶店は、斉田さんの足の手術のため今年5月に一時休業し、9月に再開した。

 斉田さんのご主人の父、パティシエだった斉田正喜さんがオープンし、最初はケーキと飲み物からスタートしたが、お客さんからの要望が多く40年ほど前からナポリタンやピラフなどの喫茶メニューも加わり、先月お惣菜がスタート。数年前まで定期的に食事会を開催しており、そのときの手料理が恋しくなった常連さんに頼まれたのがきっかけだ。切り干し大根、がんもと厚揚げの煮付け、鮭の南蛮漬けなど、家庭的な和食のラインナップで、近所に住む方々に重宝されている。

 創業から57年が経ち、昨年から1人でお店に立つ斉田さん。手術を経てお店を続けているだけでもすごいことなのに、新しいことにチャレンジする姿がかっこいい。喫茶店でゆったりとした時間を過ごし、お惣菜を持ち帰ると、斉田さんの自宅に招かれておもてなしされた気分。温かな気持ちで帰路についた。

アップルパイ、オペラ、ショートケーキ、プリンなどが入っているショーケースに、日替わりでお惣菜も5品ほど並ぶ。

毎日張り替えているラインナップ。切り干し大根が一番人気で、人参とさつまいものサラダがおすすめ。

一級建築士だったご主人が書いたメニューは字体が可愛い。

営業後に買い出しに行き、夜に惣菜を作り置きするなど、活動的な斉田さん。

タヌキちゃんを目当てに来店する方も多かったが、作り手が引退するため今年で販売を終了する。

インフォメーション

ケーキ、喫茶メニュー、お惣菜まで。前進し続ける創業57年の喫茶店、用賀『ル・モンド』。

ル・モンド

開業した斉田正喜さんは日本の洋菓子業界で最も長い歴史を持つ「日本洋菓子協会連合会」に所属していた方で「日本にケーキを広めた人です」と朋子さん。店内には東京都から表彰された賞状が飾られていた。

○東京都世田谷区中町5-21-9 ☎︎03・3701・3433 10:30〜18:00 木休