フード

経堂のニューアメリカン料理店『NEAR MINT TOKYO』は地域も時代も超えたレシピの交差点。

12月はこんなお店に行ってきた。

2023年12月29日

photo: Naoto Date
text: Eri Machida

ニューオープンやリニューアルしたお店、新メニューが出た老舗や最近やたらと友達が行っている店など、なにかと気になる飲食店を毎月紹介する連載。

白モツ・白ソーセージ・白インゲン豆の白ワイン煮込み。
白モツ・白ソーセージ・白インゲン豆の白ワイン煮込み¥2,200 レシピの元になった「シュークルート」はアルザス地方の郷土料理で、リースリングなど辛口の白ワインとよく合う。マスタードにはホワイトバルサミコビネガーとはちみつを和えており、付け合わせまでも白で統一されていた。酸味のないザワークラフトを使っているから優しい味わいで、ブイヨンが染みたお肉はジューシー。

「ニューアメリカン料理」という馴染みのないジャンルのビストロが経堂にオープンした。アメリカで1980年代に広まった、ヨーロッパの料理をベースに中南米やアフリカのスパイス、ハーブを使う調理スタイルで90年代に日本でも一時的なブームがあったそう。フレンチシェフだった店主・渡辺優さんは2015年から5年間過ごしたニューヨークでこの料理に出会い、国を超えた自由な発想に惹かれ、日本でレストランを作ろうと決心。

 多様な文化が入り混じったレシピを渡辺さん独自の思考回路で再構築するため、メニューはバラエティ豊かで唯一無二。例えば、「白モツ・白ソーセージ・白インゲン豆の白ワイン煮込み」は、白をテーマに発案したフランス料理「シュークルート」のアレンジで、ドイツのソーセージ「ヴァイスヴルスト」、北海道産白花インゲン豆、厚切りのベーコン、発酵させないザワークラフトを白ワイン、ブイヨン、タイム、ローズマリーで煮込んだ一皿。他にもラッパーのナズから着想を得た、揚げ茄子、ラム肉のラグー、バジルが入ったサルサベルデのパスタ「ナスティー茄子」など、名前と食材の組み合わせに惹かれるものばかり。このような個性的なレシピのストックが250個もあり、さらに渡辺さんは料理と同じくらいハードリカーにも詳しいらしい。知らない世界の扉を開いてくれる先輩が近くに越してきたような感覚だ。

器
器は益子焼、笠間焼を中心に揃えていて、中央は陶芸家の鈴木麻起子さんが手がけたもの。
店内には400枚を超えるレコードが。スピーカーは1971年に発売された〈JBL〉4320、アンプは80年代を代表する〈Mclntosh〉MC2500。

インフォメーション

NEAR MINT TOKYO

NEAR MINT TOKYO

11月23日より営業を始め、現在もプレオープン中。地下の部屋の工事が終わり次第グランドオープン予定で、来年を目指している。店名の「NEAR MINT」は中古レコードの中で最良に近いと分類されるコンディションで、料理も音楽も常に最良の状態でありたい、という思いが込められている。

◯東京都世田谷区宮坂3-19-1 17:00〜23:00 月休

Instagram
https://www.instagram.com/near_mint_tokyo_/