ニューオープンやリニューアルして行きやすくなったお店、新メニューが出た老舗や最近やたらと友達が行っている店など、なにかと気になる飲食店を毎月紹介する連載。
こだわりすぎないほうがいい料理があるけれど、ピザトーストもそのひとつ。凝りすぎていると“なんか違う”し、適当すぎると“家でいい”と感じる。日々答えを探すなか、読売ランド前にオープンしたばかりのお菓子と喫茶の店『SCENT』で理想のピザトーストを発見した。

世田谷代田のパンの名店『KAISO』でタルトやパウンドケーキ、クッキーなどを作っていた田中奈緒子さんが開いたお店で、お菓子は言うまでもなく美味しいけれど、店舗ができたからこそ食べられる、セントの“人柄”を象徴したようなピザトーストも必ず食べてほしい。
レシピは田中さんが小学生の頃の朝ごはんとして食べていたおふくろの味。パンは超熟の5枚切り、具材はスタンダードにチーズとピーマンとウインナーのみ。ごく普通のものしか使っていないはずなのに、しゃきっとしたピーマンやとろっとしたチーズのバランスが完ぺきで、驚くほどおいしい。
感心しながら店内を見回すとアンティークの食器やカレンダー、活けられた花もすべて料理と同じ空気感で、ニューオープンながらすでに心地良い空間になっている。普通の食材でも特別な味になるのは、自分の好きを守り通す力がある田中さんだからと腑に落ちた。「お店は店主を映し出す」という言葉がぴったりだ。
インフォメーション

SCENT
2022年12月12日にオープン。店名の「SCENT」は、直訳すると香り、いい香り、勘、直覚力。お菓子ブランドの名前だから「香り」の意味合いを持つ言葉を入れようと探していたところ見つけたそう。
◯神奈川県川崎市多摩区西生田4-3-29 マイタウン西生田 11:00〜19:00 火・水休