カルチャー
【#2】好きなレコ屋と私(そのに)。
2022年7月18日
text: Tsunaki Kadowaki
edit: Ryoma Uchida
8時間くらいレコ屋に入り浸ったあと、閉店時間までブックオフを漁り、果ては、ジャンカラ三条河原町店で夜を明かし続けていた学生時代の私である、好きなレコード屋の存在というものを挙げていくとしたら本当にキリがない。
私のGoogle Mapを埋め尽くす星の数々とは、だいたいがレコ屋かラーメン屋のどちらか、という様相である。
![パララックス・レコード、
Art
Into Life、Galapagos Records、Naminohana。](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/07/0be914ec1373592d2c5662f804814fb2.webp)
Into Life、左下がGalapagos Records、右下がNaminohana。
レコードの取り置きが「1ヶ月くらい可能」(原文ママ)という貧乏学生に嬉しいだけでなく、世界屈指のテクノ/ハウスの新譜の品ぞろえを取り揃える大阪の凄い店、Naminohana Recordsに、一年間ずっとヤフオクに張り付いていても出品されない骨董クラスのレア盤をポンポンと放出してくる神奈川のGalapagos Recordsなどを始めとして、私の財布の中身を吸い尽くしていく名店たちは数多い。
![Naminohana](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/07/2c32e9eed3161c6a52db9bf23cd93c2e.webp)
![Art Into Life](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/07/57600ec596913aa1e342fc443301827d.webp)
電子音楽からアヴァンギャルド、レフトフィールドなダンス・ミュージック、インディなスピリット、ヴィンテージなレア盤を手にした時の満足感、店の床に敷きつめられた割れたレコードと靴の擦れる音、店主の人情、本当に尖った新譜だけを取り揃えるという覚悟にいたるまで、これらのレコ屋から受け取った様々なヴァイブスと美意識、審美眼という名の「香り」が私そのものと私の部屋のあちこちに染み付いている。
そんな私に、世界的な選曲家/レーベル・オーナー/レコード店主としても知られる Chee Shimizuさんの広めた「Obscure」という、新たな未知への憧憬ともいうべき魅力的な香りを深く教えてくれた思い出深いレコ屋に、新潟のShe Ye Ye Recordsがある。
![She Ye Ye ロゴ](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/07/e0c06bd9a60e186dedb4439403298911.webp)
世界各地の辺境音楽や前衛音楽、民族音楽の希少音盤の1点もの中心という恐ろしい品ぞろえだけでなく、入荷したものがほぼ確実に売り切れる(!)という本当に凄いお店。
そのラインナップは、ソ連産のエスペラント語コズミック・フォークから、旧ユーゴスラビアの霊性室内楽、ちびっ子のための激ヤバな知育体操音楽に、世界各地の珍妙な創作自作楽器のコンピレーション、南米ベネズエラのシンセサイザー音楽などなど、世界でも類を見ないものとなっている。
![She Ye Ye](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/07/561dd95dddc23e38c7547ec7a35811eb.webp)
こんな感じでサイトの紹介文もツイートも知的好奇心を擽りまくり。純粋に内容を知らずに目を通しても、読み物としても最高であり、(在庫の殆どがソールドアウトにも関わらず)つい読み耽ってしまうものだ。
僭越ながら、2020年にDU BOOKSから出版した拙監修の『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』は、多くの意味で、このお店を始めとした数々の先駆的なディガーと呼ばれる人たちの存在と活動無しでは、出版できなかった本である。
もちろん、「レコ屋」だけがすべてではないけれど、それらの新入荷を、一番昔から一番最近まで張り付いて見ていることも多々な私の様な者にとっては、己の構成要素や美意識の大部分が、様々なレコ屋から香る美学と審美眼、まなざし、スピリットという「匂い」によって養われたことは言うまでも無さそうだ。
私に染み付く「レコ屋の香り」、そのに、深遠なる未知の「オブスキュア」ミュージックへの憧憬と審美眼、まなざしという名の香り。
![She Ye Ye
MIGUEL HERRERO『IOLANTHA』](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/07/fa54857dcb29d9eb2e9701ee6fe859ab.webp)
プロフィール
門脇綱生
Twitter
https://twitter.com/telepath_yukari
Instagram
https://www.instagram.com/tsunaki_kadowaki/
note
https://note.com/nitromegaprayer/n/n160cd9a32f6c
Spotify
https://open.spotify.com/user/
ピックアップ
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2024/07/hh_01_1080x1080-750x750.jpg)
PROMOTION
もしものときの「118」。ドコモと〈ヘリーハンセン〉が広める、安全なマリンライフ。
2024年7月15日
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2024/07/a98b1120712ae2558c294773114e59b3-750x750.jpg)
PROMOTION
〈DAMD〉の車に乗って、僕らしいひとり旅をカスタム。
DAMD
2024年7月8日
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2024/07/1x1.jpg)
PROMOTION
〈adidas Originals〉とシティボーイの肖像。#5
Tohma Picaulima(21)_『Cosmos Juice Tomigaya』Staff
2024年7月16日
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2024/07/BAOBAO_fin_v2.gif)
PROMOTION
〈BAO BAO ISSEY MIYAKE〉のバッグとピザと僕。最高の“三角”関係。
2024年7月8日
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2024/05/01-1-750x1131.jpg)
PROMOTION
夜にかける〈IZIPIZI〉のサングラス……?
IZIPIZI
2024年7月5日