TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
CULTURE

【#4】好きなレコ屋と私(そのよん)

2022.08.01(Mon)

私が「新譜のレコ屋」という存在を初めて認知したお店は、初回でもお話した通り、原宿のBig Love Recordsであった。

東京にあるBig Loveは、当時、京都で大学生活を送っていた私には、気軽には行ける場所ではなかったが、当時の私の本拠地だった京都にも私の人生を変えた魔窟があったのだ...

写真は店長の潮田さん

浪人生時代に、ネットで知り合った知人から「辺境音楽、エクスペリメンタル、ドローン、サイケデリックの専門店」という触れ込みで教わり気になっていた、京都の上京区にあるMeditationsというレコード店である。

今私がスタッフとバイヤーを務めているお店だ。

私自身は、2014年の秋頃から客として通い始めたが、当時、ドローンや実験音楽界隈のアンダーグラウンドな音楽シーンを中心に盛り上がっていたカセット・カルチャーや最新のエクスペリメンタルなどをいち早く紹介していたこの店の魅力に瞬く間にハマり、学生ながら、月に2、3回は通い全財産を捧げる日々が始まった。

当時買ったレコードたち

店の名前が「瞑想」というだけあり、店主の潮田さんは、(主にコロナ前など)年に何回か買い付けでインドに滞在しているときの最大の目的は、買い付けではなく、瞑想をし、心を清めるために行っているほどであった。

お店では、前述した様なジャンルに加え、例えば、植物のためのアンビエントから、近年再評価されるニューエイジにイタリアの前衛音楽、アフリカの最新の電子音楽まで、広範なジャンルのニッチな音楽を扱っている。

サイトの写真

客として通っていた2014年から2016年頃の当時は、伝説のスタッフTatewakiこと舘脇悠介さんの入荷するもののセンスに強く惹かれ、ヴェイパーウェイヴからドローン、ニューエイジ、実験音楽、ノイズにいたるまで、凄まじい数のカセットやレコードを購入したものだった。

カセット・フォーマットならではの「アナログ感」というモノ体験が再評価され、今やインディな音楽シーンでは改めて当たり前のものとなったカセットではあるが、まだ、それらのカルチャーがアンダーグラウンドのものであった頃の、10年代前半から中盤の貴重な風景を当時のMeditationsは記録していた。

2015年頃に買ったカセット

そして、6年間に渡り、この店のスタッフを、実店舗でも、リモートでも、長年務めさせて貰ってきた経験というものは、私の人生にとってはまず欠かすことのできないものとなった。

Meditationsでは、オリジナル・インセンスも多数取り揃えられている。来てくれた人にはよく分かると思うのだけれど、お店にはいつも、あちら側の世界への扉がひらきっぱなしな、荘厳で、未知な、お香の匂いが漂う。

私もそんな魅力溢れる「レコ屋の香り」の一部として、ふさわしい人間になれるよう、よりいっそう励んでいきたいと思うばかりだ。

私に染み付く「レコ屋の香り」、そのよん、「ここではないどこか」へのまなざしをむけ続ける、店主・潮田さんの静かな教え。

プロフィール

門脇綱生

かどわき・つなき|1993年鳥取県米子市生まれ。京都のレコード・ショップ〈Meditations〉のスタッフ/バイヤー。音楽ライターとしても活動し、編著に『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』(DU BOOKS)がある。ディスクユニオン系列のレーベルSuper Fuji Discsシリーズ傘下に〈New Age Music Revival〉を運営するほか、2022年からは同系列Fujiレーベル傘下にて音楽レーベル〈Sad Disco〉を始動。

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