ライフスタイル
僕の憧れの大人。/白洲次郎
2025年6月2日

大人になるって、わるくない。
illustration: Kazuma Mikami, Makoto Wada (profile)
text: Keisuke Kagiwada
2025年6月 938号初出
生き様のスタイルサンプルを見つけることは大人への近道。
4人の先輩たちは誰の背中に大人を感じたのだろう。
JIRO SHIRASU
白洲次郎
紳士とは大人のマナーを重んじ
自分を律する生き方だ。
先日、鶴川にある「武相荘」に足を運んだんです。白洲次郎の旧邸ですが、彼のライフスタイルは大人でしたね。それは書斎の風景を見ただけでも伝わってきます。タイプライターがあって、オリジナルの手紙用の便箋があって、そこには自邸と地方のアパートと別荘の住所があらかじめ印字されていて、これは想像ですが、きっと一日のうちに手紙を書くための時間があった。最高に大人の暮らしじゃないですか。装いについてもそれは当てはまります。仕事の際は、オーセンティックなスーツを完璧に着こなす一方、オフでは〈リーバイス〉のセルヴィッジデニムにTシャツを着て、車いじりに精を出す。車の修理なんて子供にはできません。他にもスキーやハイキングなど、自分を成長させてくれるような、チャレンジがある趣味を持つこと。それもまた、大人の条件でしょう。
白洲のように、大人のマナーを重んじ、自分を律する生き方を、紳士的と呼ぶこともできるかもしれません。かつて男性にとっては、紳士こそが理想の大人でした。しかし今、そんな面倒くさいことをしたがる人は、ほとんどいないでしょう。世界一の金持ちが、テレビゲームの腕前をアピールするような時代ですから。だけど、紳士の価値がなくなったわけではないと思うんです。
実際、最近こんなことがありました。パリで女性の記者とお茶をするために、とあるカフェに入ったんです。先についてしまった僕は、相手に敬意を示すため、入り口に背中を向ける形なので不自然ではありましたが、下座に座りました。そしたらしばらくして到着した彼女が、驚きつつ、とても喜んでくれたんです。「まだ紳士が生きていたのね!」って(笑)。かなり小さな例ですが、紳士のように生きることは、ときに自分ではなく誰かを喜ばせることになるんです。
教えてくれた人

デーヴィッド・マークス 文筆家
1978年、アメリカ・オクラホマ生まれ。著書に『STAT
US AND CULTURE ――文化をかたちづくる〈ステイタス〉の力学 感性・慣習・流行はいかに生まれるか?』など。
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