フード

シチューを作るつもりで、肉じゃがを。

定番料理のニューディール。Vol.7

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
2024年11月 931号初出

2024年10月17日

 本誌で始まった新連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第7回は肉じゃが!

合わせ調味料を吸った牛肉やじっくり煮込んだ野菜たちは、噛むほどにジワッと旨味が感じられる。これが沁みるのよ。「野菜の切り方ひとつで料理の表情も変わります。にんじんを乱切りにしたことで、より和食らしく見えませんか?」

– 材料(2人分)-

・じゃがいも 4個
・にんじん 1個
・玉ねぎ 1個
・オクラ 4本
・糸こんにゃく 100g
・牛肉切り落とし 100g
・セロリ 1/3本
・にんにく 1/3片
・しょうが 1/3片
・黒胡椒 5粒
・砂糖 3
・みりん 2
・料理酒 3
・醤油 4
・顆粒だし 1/2
・水 200㎖
・菜種油 2

– 作り方 –

1. オクラは1/2に、にんじんは乱切りに、玉ねぎはくし形切りに、セロリは1㎝幅にカット。じゃがいもは皮を剥き、1/4に切って水(分量外)にさらします。

2. 糸こんにゃくを熱湯にさらし、水分を切っておいてください。一度お湯を通すことで、特有の生臭さが薄くなるんです。

3. ボウルに砂糖、料理酒、醤油、みりん、顆粒だしを入れてよく混ぜましょう。ここににんにくとしょうがをすり下ろし、かき混ぜます。

4. 3の合わせ調味料が入ったボウルに、牛肉切り落としを入れて下味を付けます。漬け込む必要はなく、さっと浸す程度でOKです。

5. 肉をさっと焼き、スュックを作りましょう。鍋に菜種油(大1)を入れ中火にかけます。鍋が温まったら4で浸した牛肉を入れてください。鍋底に焦げ目が付いたら取り出し、ボウルとは別の小皿などに入れておきましょう。ここでの目的は火を通すことではなく、あくまでスュックを作ることです。だから炒めるときのようにヘラなどで触る必要はありません。赤みが残っていても取り出していいんです。

6. 鍋に菜種油(大1)を足し、中火にかけて、にんじん、玉ねぎ、セロリ、じゃがいも、潰した黒胡椒を入れて炒めましょう。

7. 野菜に照りが出てきたら、水と合わせ調味料を加えてひと煮立ちさせます。必要があればアク取りをして、落とし蓋と蓋をし弱火で煮ます。

8. 野菜に火が通ったら、牛肉、糸こんにゃく、オクラを加えて2、3分煮ましょう。余裕があれば冷まして温め直して盛り付けてください。

– 今月の古来種 –

シチューを作るつもりで、肉じゃがを。

八代オクラ

「オクラの多くは五角形ですが、こちらは八角以上の多角形なんです」という兵庫県豊岡市日高町の八代地区の在来種。肉厚だが柔らかく、実が大きくて粘りが強い。近年栽培農家・収穫量ともに増加中。

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種の野菜のこと。在来種ともいわれる。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
煮込み料理にはストウブだ!

「重みがあって、きっちり密閉もしてくれる。数ある料理道具のなかでも手放せないもののひとつです」とは原川さんのストウブ評。〈ミナ ペルホネン〉のコラボ「ココット オーシャン」のオーバル型を愛用している。

プロフィール

シチューを作るつもりで、肉じゃがを。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/