フード

キレイに切らずに、削る。キャロットラペの作り方。

定番料理のニューディール。Vol.2

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
2024年6月 926号初出

2024年5月10日

 本誌で始まった新連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第2回はキャロットラペ!

ふんわり、シャキシャキ。そして食べ応えがあるのはいわゆる千切りではないラフさの賜物だ。しかもドレッシングのオイルが少なめで、山盛りでもパパッと軽やかに食べられる。「最後にディルシードを足すと爽やかな香りも楽しめますよ」

– 材料(2人分)-

・にんじん 2本(300g)
・玉ねぎ 1/8個(30g)
・塩 適量
・赤ワインビネガー 大さじ2  
・菜種油 大さじ2

– 作り方 –

1. 玉ねぎをザックリとみじん切りにします。キレイに切らないでください。一つ一つにムラがあってOKです。食感を残すように。

2. ドレッシングを作ります。ボウルに入れた玉ねぎのみじん切りに塩(小さじ2)を振り、赤ワインビネガーを加え(レモン汁でもOK)、玉ねぎがお酢を吸ったら菜種油を加えてよくかき混ぜ、とろみが出たら完成。ポイントは、玉ねぎがお酢をしっかり吸うことで、浸す時間の目安は30秒程度です。ちなみにドレッシング作りでは油は酢の3倍入れるのがセオリーとされていますが、そんなに必要ありません。同量で十分。

3. しりしり器でにんじんを削りましょう。グッと力を込めて、太く、粗く。厚みがあってOKです。指を切らないように要注意! 削ったにんじんには塩をひとつまみ。ボウルに入れたにんじんの表面全体に軽くまぶすイメージです。

4. にんじんとドレッシングを和えます。にんじんに気持ちよくドレッシングを浴びさせるよう、ふんわり軽やかに。ぜひ、手で直接和えてみてください。

5. 盛り付けます。これも手で、考え過ぎずに勢いよくいきましょう。料理の盛り付けのコツは結局、Don’t thinkです。

– 今月の古来種 –

キレイに切らずに、削る。キャロットラペの作り方。

黒田五寸人参

自然交雑して生まれた長さ五寸ほどのにんじん。長崎県大村市の黒田正さんらが昭和10年頃から種取りを始め、今も「黒田五寸人参原種育成会」で原種が守り続けられている。尻が丸く、中心部までオレンジ色が濃い。「豊かな甘味が特徴。火を入れるとより一層甘味が感じられます」

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種の野菜のこと。在来種ともいわれる。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
しりしり器は「蜂の巣」を。

 原川さんが愛用するしりしり器は「ジュジュ野菜調理器 蜂の巣」(小柳産業)。木製ボディは力を込めても壊れにくく安定感抜群。断面が粗く仕上がる絶妙の切れ味を併せ持つ。チーズも食感よく仕上がるそう。

プロフィール

キレイに切らずに、削る。キャロットラペの作り方。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/