カルチャー

知的好奇心を刺激する展示4選。

さーて、9月はどんな展示に行こうかな。

2024年9月8日

山下陽光のおもしろ金儲け実験室
@生活工房ギャラリー

本人曰く「低クオリティ」で、しかし販売すれば即完の人気リメイクファッションブランド〈途中でやめる〉を主宰し、インターネットラジオや写真家と編集者によるユニット「新しい骨董」など、多彩な活動で知られる山下陽光。その魅力は、既存の価値を転換するような彼の”思いつき”とその実験と実践にある。本展では、設立20周年を迎えた〈途中でやめる〉の200点以上の新作をはじめ、個人出版、口コミ、フリーマーケットでの仕入れ、野生のワサビにヒントを得た絵画など、600点以上の展示品から、著書『バイトやめる学校』から深化した「おもしろ金儲け」なる”あたらしいお金の稼ぎ方”を来場者とともに探る! 予定されているトークイベントもかなり面白そうなので要チェックだ。

インフォメーション

山下陽光のおもしろ金儲け実験室

会場:生活工房ギャラリー(3F)
会期:2024年09月03日(火)~2024年12月26日(木)
時間:9:00~21:00 
休み:月曜(祝日は除く)※11月10日(日)は設備点検のため休室
料金:入場無料

公式ウェブサイト
https://www.setagaya-ldc.net/program/598/

探偵小説の世界へようこそ
@国立国会図書館ギャラリー(東京本館)

「(略)ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうがやっぱりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック……絵空事で大いにけっこう。…(略)」なんて登場人物のセリフから始まるのは日本における新本格ミステリブームの火付役となった『十角館の殺人』(綾辻行人・著/講談社)だ。Wi-Fiだらけで、古典的な推理物が通用しないように思われる現代だが(安心安全ということなのだが)、やっぱり推理ものって魅力的。本展は、欧米の”detective novel”が輸入された明治期から、「推理小説」という言葉が戦後に普及するまで特に広く使われていた語である「探偵小説」に着目。翻訳と創作の歴史、名探偵のキャラクターやトリックの魅力を切り口に、須藤南翠や黒岩涙香ら日本における探偵小説の始まりから、探偵小説を構成する諸要素を『国立国会図書館』ならではの貴重な資料をもとに展示中。工藤新一くんが実在したら絶対足を運んでいただろう! ネット上では本展の元になった「ミニ電子展示」でより多くの資料が紹介されているので、直接訪れるのが難しい場合には、ここから楽しんでみよう。

インフォメーション

探偵小説の世界へようこそ

会場:国立国会図書館ギャラリー(東京本館)
会期:2024年8月22日(木)〜9月17日(火)
時間:9:30〜19:00(土曜日は17:00まで)、入館は満18歳以上で、利用者登録が必要。詳細は同館のサイトを
チェック。
休み:日曜、祝日
料金:無料

公式サイト
https://www.ndl.go.jp/kaleido/entry/35/

聞く/聴く:探究のふるまい
@KCUA

「町」と「街」や「解る」と「判る」のように、どちらを書いたらいいか迷うことがある。本展のテーマである「きく」という語もまたさまざまな漢字や意味を持っている言葉だ。音や声を耳で感じること、受け入れること、尋ねること、耳を傾けること。また、聴覚に限らない感覚を働かせて識別することもまた、「きく」の持つ意味の一つだ。本展ではそんな「聞く/聴く」を起点とする探究から生まれる芸術実践に注目し、そのあり方と可能性について探る。美術家・ファッションデザイナーの西尾美也、音文化研究者・サウンドアーティストの柳沢英輔、展示企画者らによる共同研究プロセスの展示と、誰もがこの研究に参加できる実験エリアを展開。また、学術的な芸術実践の海外での事例として、オランダ拠点の作家、フェムケ・ヘレフラーフェンによる近作や香港拠点の作家、ジェン・ボーによる科学者と協働した作品シリーズを展示。新たな知への探究に主眼をおいた注目の、いや”注耳”の展示だ!

インフォメーション

聞く/聴く:探究のふるまい

会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
会期:2024年8月24日(土)–2024年10月14日(月)
時間:10:00〜18:00
休み:月曜日※ただし9月16日(月・祝)、9月23日(月・振休)、10月14日(月・祝)は開館、9月17日(火)、9月24日(火)は休館とする。
料金:無料

公式ウェブサイト
https://gallery.kcua.ac.jp/archives/2024/11235/

嗅ぎたばこ入れ 人々を魅了した小さな容器
@たばこと塩の博物館

金台エナメル仕上げ人物模様嗅ぎたばこ入れ
フランス 18世紀

ガラス製蓮華と金魚模様内画鼻煙壺
中国 20世紀

貝製銀台座嗅ぎたばこ入れ
イギリス 18〜19世紀

雪片地赤被せガラス製吉祥模様嗅ぎたばこ入れ
モンゴル 19〜20世紀

パイプやきせるやシガレットは見る機会がまだあるが、ちょっと昔の小説なんかを読んでいるとたまーに出てくる「嗅ぎたばこ」。粉末状にしたたばこの葉を鼻から直接吸い込んで嗜むもので、もともとはアメリカ大陸先住民の風習だったものが、大航海時代以降ヨーロッパに伝わり、その後中国などのアジア各国にも広まったのだとか。金属、木材、ガラス、貴石など様々な素材の容器には多様で魅力的なものが多い。フランスのルーブル美術館や台湾の故宮博物院など世界の美術館・博物館のコレクションとして収められるなど、その美術工芸品としての評価も高い嗅ぎたばこの世界。ぜひ堪能してみよう。『たばこと塩の博物館』についてはこちらの記事でもチェックしてみてね。

インフォメーション

嗅ぎたばこ入れ 人々を魅了した小さな容器

会場:たばこと塩の博物館 2階特別展示室
会 期:2024年9月21日(土)〜12月22日(日)
時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休み:月曜日(ただし、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
料金:大人・大学生100円、満65歳以上の方50円、小・中・高校生50円。

公式ウェブサイト
https://www.tabashio.jp

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