カルチャー
【#4】マイ・コラージュ・アーカイブ
2023年1月6日
edit: Keisuke Kagiwada
知っている人も多いかもしれませんが、今の僕のコラージュのメインは、シュレッダーした素材で作っています。
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2023/01/SCHRETTER_05-2-2.jpg)
この手法を編み出したのは、最初の作品集を作ったとき。今日すべてを入稿しなきゃ間に合わなくなるって日に、予定していたページ数に対して、作品数が足りないと発覚したんです(笑)。
まぁ、セクションごとの扉ページを黒ベタにすれば事足りたんですけど、それだともったいないと思っていたとき、目に入ってきたのが事務所にあったシュレッダーでした。
これ、台紙に数字をかたどるようにスプレー糊を吹き付けて、シュレッダーで粉々にした素材をばらまけば、扉ページ用の作品になるんじゃね? そう思って、作品集の色校をシュレッダーにかけたら、なんと粉々になるやつじゃなくて、縦切りにするタイプだったんですよ。あー、終わったと思いましたね(笑)。
でも、入稿はしなきゃいけないから、台紙にペタペタ貼ってみたら、ノイズっぽい感じで意外とよくて。他の素材を混ぜて、20分くらいで完成させたのがこれ。
本当にその場しのぎの手法だったんで、続けるつもりはなかったんですよ。でも、無事入稿した帰り道、大友克洋さんとご飯をすることになったんで、この作品を見せたら「めちゃくちゃ面白いじゃん! 突き詰めたら、もっとすごいことになるんじゃない?」と言ってもらえて。それだったら、続けてみることにしたんです。
だけど、なんか面白みがなくて、すぐ飽きちゃったんですよ(笑)。それで思いついたのが、1つの素材だけを、もとに戻していくっていう今の手法。それまでコラージュっていくつかの素材を張り合わせないといけないと思っていたんです。だから、引き算をしていっても最低2つの素材が必要になる。ただ、この手法だと1枚でできる。だから、これは自分の中で結構な発見でしたね。
ただ最近のシュレッダーは粉々になるのが主流らしいんですよ。だから、この太さの縦切りのタイプは、新品ではほぼなくて。今はヤフオクで買い漁って、いくつかストックしています(笑)。
というわけで、最後に紹介する曲は、Cabaret Voltaireの「On Every Other Street」。
Throbbing Gristle、SPKなど、インダストリアルミュージックばかり聴きながら、ひたすらシュレッダーしたものを貼っていた時期だったので。
プロフィール
河村康輔
かわむら・こうすけ|1979年、広島県生まれ。代表的な仕事に、『大友克洋GENGA展』メインビジュアル、『AKIRA ART OF WALL』、作品集に『2ND』『MIX-UP』など。2021年からは、〈UT〉のクリエイティブディレクターを務めている。
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