ライフスタイル

私のいえは、東京 山のうえ Vol.19

社本真里の隔週日記: 露天風呂

2022年10月24日

photo & text: Mari Shamoto
edit: Masaru Tatsuki

 集落には共同のお風呂がある。

 室内空間はなく露天で、浴槽は鋳物、薪で温める五右衛門風呂だ。6年程前に集落の自治会館を建て替えるタイミングで、災害時用にお風呂があった方がいいだろうということで、ジローさんが地域のおじさんと建てた。

お風呂小屋の佇まい。奥には薪棚も作った。

 お風呂の下にはすぐに道があるので、道から丸見えなので最初は少し気になったけど、今ではすっかり慣れてしまった(そもそもほとんど人が通らない道なので)。災害時だけでなく、日頃から利用していて、友人が来た時や、皆でご飯を食べるタイミングで沸かすことが多い。浴槽に水をはって、薪に火をつける。火の様子を伺いながら40〜50分程待っているとちょうどいい温度になる。

 調子に乗って薪を入れすぎるとすぐに煮えたぎってしまうので、その調整が以外と難しい。熱くなりすぎた時は、水を入れて適温になるのを待って入るけど、火はすぐには消えないので、浴槽に浸かっていると下からじわじわと熱くなっていく。

 誰かがお湯を沸かした日には、「お風呂でたよ」と一言メールが入る。私の小屋にはシャワールームだけなので、その連絡が入ると嬉しくて、湯加減がちょうどいいうちにと、急いでタオルを片手にお風呂へ向かう。

脱衣所からの写真。夜、暗い中で目が慣れてくると反対側の尾根線がうっすらと見える。

 晴れた日には、月や星がとても良く見えるので、お風呂の電気を消して入るのが好きだ。お風呂を出たら私も次の人へ連絡をする。

プロフィール

社本真里

しゃもと・まり | 1990年代生まれ、愛知県出身。土木業を営む両親・祖父母のもとに生まれる。名古屋芸術大学卒業後、都内の木造の注文住宅を中心とした設計事務所に勤め、たまたま檜原村の案件担当になったことがきっかけで、翌年に移住。2018年に、山の上に小さな木の家を建てて住んでいる。現在は村内の林業会社に勤め、山の素材の販売や街と森をつなぐきっかけづくりに奮闘している。