From Editors

「これが僕の仕事!」といつか言いましょう。

NO.953

2026年8月6日

さて、今年も夏がやってきました。茹だるような暑い暑い夏です。シティボーイたるもの、汗かいてアクティブに! なんて思いますけど、そんなこと言ってられない。身体の安全が1番ですからね。部屋でクーラー効かせて、なんならそれが寒くて、毛布にくるまっちゃって、今って季節はいつだっけ? これ、もはや風物詩ですよね。それでいて、夏休みなんて入っちゃったら、意外とやることもない。ゴロゴロしてる。僕は、私は、このままで大丈夫か……? となったあなた! 今月号「これが僕の仕事」の出番ですよ。

なぜ不安になって迷うのか? それは仕事って正解がないものだからだと思うのです。お金さえ稼ぐことができればいいのか? やりがいがあればいいのか? 好きなことを仕事にするのか? 悩みの種類もバラバラであれば、それぞれに自分の考える仕事観がある。だからこそ、等しく皆迷うはずです。今回の特集に登場するのは、ゴア料理店の店長、ガラス作家、プロレスラー、能楽師、デザイナー、ギタリスト、福祉施設の施設長など総勢48人。自分なりに生き方を考え、失敗をし、悩み、あるいはすんなりと自分の”天職”に出合い、それでも仕事と向き合い続ける人ばかりです。

メインとなるインタビュー企画「僕が選んだ仕事」に加えて、僕らが憧れる先輩たちの仕事論が知れるページや、最近独立・開業した人に聞くリアルな話、そしてレジェンド・森山大道さんに「仕事」にまつわる質問を投げかけた企画も。とにかく色々な角度から、自分の生き方、人生について考えることのできる一冊になりました。

最後に今回のこぼれ話を一つ。僕が取材をする中で印象的だったのが、映像ディレクター・作家の上出遼平さん。NYから日本に帰国している間、1週間に渡って密着させてもらいました。毎日、ポッドキャストの収録、ポップアップストアの内覧会、取材の出発前など、とにかく通う、通う。上出さんも「勘弁してください(笑)」とおっしゃるほど、ピッタリと追い続けていました。

密着の最後はロングインタビュー。お話しを伺うために訪れた場所は、上出さんが未解決事件の調査や考察を語るYouTubeチャンネル『健康チャンネル』でお馴染みのあの部屋。もちろん場所は絶対に言えないのですが、画面の中に入ってきたかのようで興奮していると、こんな会話に。

僕「これまで危険のある色々な場所に行ったり、こういった未解決事件の捜査をしたり。率直に怖くないですか?」

上出さん「僕だけではなくどんな種類の仕事でも、リスクはあると思います。例えば、ああいうYouTubeを撮影しているこの場所に来ることだってリスクがあると思いますよ」

僕「え……」

本気で身の危険を感じて焦りました。しばらく自宅で一人で『健康チャンネル』を見ることは出来なさそうです。でもこれも含めて僕の仕事、なのか……?

そんなこんなで、この特集を作りおえた今も、僕はまだまだ悩んでます。でもいつか、読者の皆さんと一緒に、胸を張ってこう言えたら最高な未来なんじゃないかな? 「これが僕の仕事!」って!

先々月号の50周年号を超えて、無事51年目に突入したポパイ。小誌50周年をいろんなお店の方や読者の方がお祝いしてくれているのを見て、50年分の大先輩たちの「仕事」の上に自分がいるんだと強く実感。

(担当編集・濱田浩嵩)