TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】ローカル広告観察記

執筆:小林美香

2026年4月18日

 講演やイベントの仕事、旅行でさまざまな地域に赴く時、行く先々のローカル広告を撮影するようにしています。起用されるタレントや広告表現にそれぞれの地域性が感じられるのが興味深いのと、地域による違いはありますが、公共空間に格段に広告の量が少なく、首都圏の広告の量は異常なのかもしれない、と思わされます。ローカル広告観察として、大学関連の仕事で何回か訪れている福岡市で見かけたものをご紹介します。

 福岡空港から都心へのアクセスが良く、駅のホームドアなどいたるところで目にするのが麻生グループ(衆議院議員、麻生太郎の弟が会長を務める企業コングロマリット)の広告。ソウルフードであるラーメンとうどんの麺の状態「カタとやわ」で社風が説明してくるあたりにローカル広告の王道を感じます。主要沿線のいたるところに掲出されている広告なので、見るたびに「麻生家の領土」に足を踏み入れた気分になります。

九大学研都市駅 プラットフォーム(2025年9月9日撮影)

 博多駅周辺は、福岡県出身の著名人、芸能人を起用した広告が多いのですが、中でも目立つのが芸人の博多華丸・大吉を起用した広告です。当地出身の芸能人が全国区で活躍し、名を知られるようになると、「地元の誉」として尊敬され、親しまれるのでしょう。中心地の繁華街である川端通商店街のアーケードに掲げられた大きな横断幕のような「黒伊佐錦」(鹿児島県伊佐市・大口酒造)の広告。博多大吉が満面の笑みで焼酎のグラスを手にしている様子は、気取ったところのない地元のおじさんといった風情です。シリーズでCMが作られており、方言とともに地域性や生活感が感じられます。

川端通商店街(2025年9月9日撮影)

 これは「九州男児」広告の典型かもしれない! と思ったのが、博多駅に設置された博多祇園山笠のラッピング飲料自販機です。博多山笠では、水法被と締込みの祭り装束で男性達が山笠を舁き、街中を駆け回るそうです。自販機から飛び出んばかりの熱気あふれる男性達をみているだけで喉が渇いてくる、という広告としての効果もあるかもしれません。

博多駅 飲料自動販売機(2025年9月7日撮影)

プロフィール

小林美香

こばやし・みか|1973年、奈良県生まれ。国内外の各種学校や機関にて写真やジェンダー表象に関するレクチャー、ワークショップ、研修講座、展覧会の企画と並行して、雑誌やウェブメディアに寄稿するなど多岐に渡り活動中。著書に『ジェンダー目線の広告観察』(現代書館)『その〈男らしさ〉はどこからきたの?』(朝日新書)などがある。また、Inclusive Marketing Lab(IML)を運営する。

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