ライフスタイル

[#1] Go with the 風呂〜/ピラミッド元氣温泉

2021年5月12日

text: Yumiko Ohchi
logo design & movie edit: my ceramics(FF)
edit: Yu Kokubu

はじめまして。主に銭湯や温泉、サウナ周りのライターをしております大智由実子と申します。今回POPEYEウェブのタウントーク(世間話)にて、お風呂コラムを書かせて頂くことになったんですけど、世間話にかける熱量を完全に間違えました。

コラムのタイトルは『Go with the 風呂〜』ってなわけで、私が惹きつけられた個性溢れる様々なお風呂を紹介していきたいと思っております。コラムを読んで興味を持って実際に足を運んでもらえたら嬉しいのですが、それができなくても「へぇ〜世の中にはこんなお風呂もあるんだ〜」とか「こんなんアリ???」と、貴方のお風呂に対する概念に揺さぶりをかけて脳みそに少しでもバグを起こすことができればこれ幸い。

記念すべき第一回目は、とある業界では超絶有名、大御所中の大御所とも言える栃木県は那須塩原にある『ピラミッド元氣温泉』。まさに脳みそにバグを起こすにはぴったりの温泉です。

ここはその名の通り、クフ王のピラミッドを1/10スケールで忠実に再現したというピラミッド構造の温泉施設で、地中1.2kmから湧出する温泉の地殻パワーと宇宙からのピラミッドパワーと、つまり地球と宇宙の夢のコラボが実現し、上から下から同時に働きかけて、この資本主義・競争社会でズタボロになって荒んだ私たちの精神と肉体を一気に癒してくれるトンデもない施設なんです。ちなみに「元氣」とは「元気ハツラツ」の「元気」ではなく、エネルギーである「氣」を、生み出す大元である宇宙、もしくは創造主とも言えるその「元」から中間搾取なしでダイレクトに届けるという意味で、つまりは宇宙エネルギーの産地直送便ってなワケ。

スフィンクスの間を通っていざ入館!
エントランスでは巨大な紫水晶が「いいネ!」してくれる。

お風呂コラムとか言っておいてのっけから変化球というか、消える魔球みたいな感じになって申し訳ないのですが、ここは温泉の泉質も素晴らしいんだけど、私のイチオシは大浴場の真上にある「パワースペース」と呼ばれる瞑想室なんです。ここはピラミッドの頭頂部にあたるところにあって、中央には金色に彩られ1000体の仏像が掘られた巨大なケヤキの根とこれまた巨大なクリスタルがどかーーーんと鎮座している。初めてその部屋に足を踏み入れた瞬間、ただただものすごい存在感とエネルギーに圧倒されて頭真っ白になって立ち尽くしてしまった。それくらいインパクトあって、瞑想が出来る状態にまで精神が落ち着くのにちょっと時間がかかるのが玉に瑕。でも落ち着いてきてクリスタルの前で瞑想をすると…スゥッと深い瞑想状態に入って気付いたら40分ほど経過してましたね。もちろん頭スッキリ、非常にクリアになりました(※個人差はあると思います)。

ここがパワースペース。この巨大クリスタルが集めた宇宙エネルギーが…

でもやっぱりお風呂に話を戻すと、ここの温泉の他には無い推しポイントは、湯船につかりながらなんとこの宇宙からのピラミッドパワーも同時にチャージできちゃうところ!大浴場の真上のパワースペースにある巨大クリスタルが集めたピラミッドパワーが「氣柱」というセラミックス製の柱を通じて温泉に溶け込んでいるそうで、パワースペースで瞑想をしなくとも湯船につかりながら氣柱に背中をつけるだけでピラミッドパワーがチャージされる有難い仕組みなんだとか。私なんかは欲張りなんで、氣柱に抱きついてほおずりしちゃいましたけど。

真下の大浴場にある「氣柱」にドーーーーーン!!と流れてエネルギー注入。

しかし一体どんな人がどんな想いでこんな素晴らしい施設を作っちゃったのよ??温泉とピラミッドの融合なんて、常人の考えつく発想では無いよね???と、モヤモヤとしていたところ、受付付近に只者ならぬオーラを発した御老人が。パワースペースで瞑想をして直感をビンッビンに冴え散らかしていた私が「もしかして館長さんですか?」と声をかけるのに0.1秒もかからなかった。「はいそうですよ」と答えたかも定かではない。もはや私たちはテレパシーのようなもので会話をしていたような気がする。

御年90歳(!)となるその方のお名前は伊藤雄次郎さん。元々は電子工学の会社を経営する事業家であり、また、発明で数多くの賞を受賞してきた発明家でもあり、そして「ひび こうじ」というペンネームで小説も書く実に多才な方だ。

とても90歳には見えないお元気な伊藤さんはペンネームの他にも「南無悠生(なむゆうせい)」というスピリチュアルネームもお持ちです。

伊藤さんに「どうしてピラミッド元氣温泉を作ったのですか?」と聞くと、「物質的には満たされたけど心が貧しくなっている現代における精神的な駆け込み寺を作ったんです」と。なにやらピラミッドパワーには脳波を刺激して精神を癒す効果があるそうで、さらに温泉の療養効果もあいまって、ここは物質至上主義の近代社会に疲弊した人々の心身を整え、生命力を活性化させるために作られた救世活動施設なのだとか。「今の時代にぴったりじゃん!」と思いきや、なんと伊藤さんがこの施設を作ったのは今から26年前の1995年。いやはや、伊藤さんに先見の明があったとは言え、我々人類はこの四半世紀の間ピラミッドパワーを有効活用して学習せず、経済発展や物質的に豊かになるための欲望を最優先してやりたい放題やってきた結果が今この惨状、ということなんですよね…猛反省。

だから私は声を大にして言いたい。「人間たちーー!急いでピラミッド元氣温泉に全員集合ーーー!!じゃないと人類が滅んじゃうよーーーー!!!」

伊藤さんが25歳の頃(つまり今から65年前!)に書いたというSF小説『最後の文明人記録』には文明人滅亡のシナリオが書かれているが、中には現在起こっていることを予言するような事も書かれてあり、恐ろしいことにフィクションがもはやフィクションじゃなくなりつつある。でもまだ私たちには最悪のシナリオを回避するためにやれることはある。それはピラミッド元氣温泉に行くこと。ピラミッドパワーが地球を救うと言っても過言ではない。PYRAMID OR DIE.

「ピラミッドパワー?そんな科学的に証明されていないもんは信じないね」って人、いいから黙ってこの動画の伊藤さんの軽快なステップと饒舌な語り口を見てよ。あと、おしゃべりしているとすぐにわかるけど、発明家だからか発想が斬新で頭が柔らかい。何度も言うけど御年90歳だよ?目に見えるものしか信じないという人、確かにピラミッドパワーは目に見えないけど伊藤さんという目に見える存在がそのパワーを証明していますよー。そしてそんな伊藤さんが一番大切にしていることは「夢と情熱とときめきを途絶えさせないこと」なんだって!うーーん、惚れちゃいそう。

※浴室及び館内撮影は許可を得ております。

インフォメーション

ピラミッド元氣温泉

◎栃木県那須塩原市接骨木493-4

TEL:0287-35-4141

プロフィール

大智由実子

2012年よりMARGINAL PRESS名義で洋書のディストリビューションを行ってきたが2017年に活動休止し、世界中の様々なサウナを旅する。サウナライターとして花椿webにて『世界サウナ紀行』を執筆する他、サウナ施設の広報も務めるなど、サウナまみれの日々を送る。のちにサウナのみならず銭湯や温泉などお風呂カルチャー全般に視点が広がり、個性強めなお風呂を探究して現在に至る。お風呂以外の趣味は昭和の純喫茶とおんぼろ大衆食堂を巡ること。