フード

イタリア生まれ日本育ちの、愛すべきニクい奴ら。

僕らが好きなニッポンの洋食について。

2026年7月3日

WHOLE CITY BOY CATALOG


photo: Hikari Koki (The Cafe, Kakehashi, chianti), Naoki Honjo (Japone)
text: Nozomi Hasegawa
2026年7月 951号初出

イタリア生まれ日本育ちの、
愛すべきニクい奴ら。

 シティボーイのDNAに刻まれた「東京の味」。そのひとつには、和食と西洋料理がハイブリッドした「ジャパニーズウェスタン」と言えるスタイルがあると思う。洋食も、鉄板焼きも、とんかつもカレーだってそう。そんな、広い意味での「洋食」のなかでも、僕らが愛してやまないのが、日本独自に進化した「イタメシ」としてのスパゲッティだ。

 例えば、ポパイ編集部のある銀座には数えきれないほどの飲食店があるけれど、ガッツリ食べたいときに足が向かうのは決まって『ジャポネ』。路面の立ち食い蕎麦屋のように客がカウンターに一列になって、一心不乱にスパゲッティを食べる〝ロメスパ〟の店だ。冷蔵庫で一晩寝かせた茹で置きの太麺を、中華鍋にどかっと入れて具材と一気に炒めるのがジャポネ流で、醤油ベースの看板メニュー・ジャリコは、もはやパスタのローカライズを超えたオリジナル料理だ。

『ジャポネ』のジャリコ

人気ナンバーワンが「ジャリコ」(レギュラー¥750)。もちもちの太麺をマーガリンで炒めながら、豚肉、玉ねぎ、生しいたけを塩胡椒と醤油で味付けし、しその葉と小松菜、トマトを投入。具だくさんで、香ばしさと爽やかさが同居するここでしか食べられない味。メニューのサイズは350gのレギュラー、550gのジャンボに次ぎ、750g(!)もの横綱がある。

インフォメーション

イタリア生まれ日本育ちの、愛すべきニクい奴ら。

ジャポネ

◯東京都中央区銀座1-2 インズ3 1F ☎03·3567·4749 10:30~13:00・14:00~15:00・17:00~18:00、土10:30~13:00・14:00~15:00※2026年5月現在はテイクアウトのみの営業 日・祝休

 同じく「炒めるパスタ」で思い出すのがナポリタン。横浜の「ホテルニューグランド」にあるレストラン『ザ・カフェ』で生まれたもので、第2次世界大戦後の横浜で、米兵がよく食べていたトマトケチャップのスパゲッティが元となっているとか。

『ザ・カフェ』のスパゲッティ ナポリタン

1927年のホテル開業当初から日本の洋食文化を牽引したレストランであり、プリン・ア・ラ・モードやドリアの発祥地でもある。ナポリタンは、第2次世界大戦後の接収時代にアメリカ軍人からヒントを得て2代目総料理長の入江茂忠が考案。「ホテルで提供するにふさわしい形を」と、生のトマトやトマトペーストを使っている。そのため上品な味わいで、麺に絡むソースの量が均一なところにも美学を感じる。¥2,340(サービス料込み) 

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ザ・カフェ

◯神奈川県横浜市中区山下町10 ホテルニューグランド本館1F ☎045·681·1841 10:00~LO21:00 無休

 他にも、日本で初めて本格的なイタリア料理を提供した『レストランキャンティ』のクラシックメニュー「バジリコ」はバジルの代わりに大葉を使っているし、かつて代々木八幡にあった『ハシヤ』から始まった〝ハシヤ系〟も外せない。醤油や和の素材を使うスパゲッティの先駆けであり、修業した料理人たちが、独立の際に同様の店を開業して広がった一大流派。ウッドボウルに入ったたらこパスタは、〝ジャパスパ〟の象徴だ。

『レストランキャンティ』のバジリコ

1960年創業。日本のイタリア料理店の草分け的存在であり、当時は地下にレストラン、1階にブティックを持つ社交場だった。鮮やかな緑が特徴の「バジリコ」は創業当時から人気。大葉とパセリを使用するのは、当時バジルが手に入りにくかったから。大葉を洗った後にしっかりと乾かして包丁で細かく刻むことで香りが立ち、旨味も出る。卓上の粉チーズをたっぷりとかけて食べよう。¥3,300(別途サービス料10%) 

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レストランキャンティ

◯『飯倉片町本店』東京都港区麻布台3-1-7 ☎03·3583·7546 11:30~23:00(食事LO21:30) 無休

『カケハシ』 のタラコとウニとイカのスパゲッティ

一時は数店舗あった『ハシヤ』の最後の店舗が2024年に惜しまれつつ閉店。その跡地に生まれたのが『カケハシ』だ。名前は変わっても、スタッフやメニューはそのままに変わらぬ味を提供。ソースの塩気を生かすため、麺を茹でるときには塩を入れないことがポイント。木の器を使うのは、茹で上がった麺とバター、具材を皿の中で混ぜ合わせるからで、「タラコとウニとイカのスパゲッティ」は甘味があってまろやかで濃厚で……とにかく贅沢! ¥1,700 

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カケハシ

◯東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビルB2 ☎03·5989·0015 11:00~LO20:30、祝~LO20:00 土・日休