TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#2】うちの犬とわたし
執筆:光嶌なづな
2026年5月19日
うちの実家の犬は、ひと粒ひと粒ドックフードを口に入れてもらってる。
そう、おぼっちゃま犬なんです。
お肉や野菜はがっつくのに、ドッグフードは食べさせるというひと手間をかけないと見て見ぬふりする。なんてこった。
でも理由は簡単なんです。
兄も私も家を出て、残された彼は周囲の愛情をこれでもかというくらい浴びてるから。
心配性の母、あまり口を挟まない父、さらに心配性の祖母、常におやつを持ち歩く祖父。
自分の家族ながら、納得してしまいます。
当の本人はツンデレでちょっと嫌そうなのも、またかわいい。
帰省するたびに今日もおぼっちゃまやなあなんて思ってたら、「いや、似てるで?」と幼なじみに言われた。
最初は笑顔で流していたけど、アルバムの中に、同じ表情をした幼い頃の自分がいた。びっくりぎょうてん。
同じ親に育てられると、人も犬も似るらしい。
でも、振り返ると心当たりはあれやこれやある。
つい先日、家族とタイミングが合わず帰省したのに実家にひとりだった。
誰も帰ってこない実家はいつぶりかも分からない。
同じひとりでも、“まだ帰ってきてない”と“今日はもう帰らない“はこんなに違うものかと思っていた。
そんなときの救世主、心配性のばあちゃん。
21時頃、雨の中ピンポーンと長靴を履いて登場。
「ひとりで大丈夫やのに」なんて言いながらも、内心ほっっとしていた。
結局そのまま、「今日ばあちゃんち泊まっていい?」と言って、ザーザー降りの中、ふたりで歩いた。
私は昔からばあちゃんっ子でした。
両親が共働きだったので、放課後も、習い事の送り迎えも、いつも祖母がいてくれました。
夏休みには、兄と毎日電車に乗って祖母の家に通ってました。
帰り際、祖母はいつも入場料を払ってホームまで見送りに来てくれていた。
ある日「もうおれらだけで大丈夫やで」と改札の前で言っていた兄の姿をなぜかすごく覚えている。
我が家のおぼっちゃまをきっかけに、小さい頃の記憶が戻ってきたゴールデンウィークでした。
これからも、おぼっちゃまにひと粒ずつあげるため大阪に帰りたいと思います。
プロフィール
光嶌なづな
みつしま・なづな|2002年大阪府出身。日本大学芸術学部演劇学科卒業。在学中から俳優業をスタートし、ドラマ、舞台、CMなどマイペースに出演中。
2025年に放送されたNHK夜ドラ「ひらやすみ」で横山あかり役をオーデイションで射止め話題になった。
現在、Tenki.jpのブランドムービー「空を見上げる君が好き」編に美雨(ミウ)役で出演中のほか、出演映画「おとなになりたくなれますように」(村田夕奈監督)が5月25日〜28日にテアトル新宿で公開される。また紀伊国屋書店創業100周年記念公演『わたしの書、頁を図る』(作・演出・美術:小沢道成)に出演が決定。2026年7月3日(金)~7月19日(日) 紀伊國屋ホールにて上演される。好きなことは絵を描くこと。
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