TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#1】靴のままの暮らし「ギモンを持つと、タイクツしない」
執筆:武末充敏
2026年5月10日
人生は短いって、ホントウだろうか。
つらつらかんがえると、人生ってやつはアッという間に異性交友し、成人と言われ、子を作り、なんんとなくファミリーとなり、がんばってがんばって家を借りるなり所有するなりしているうちに定年がセンコクされ、血糖値がやばくなって健康診断がルーティーンとなり、気がつけばこの世におさらばってマッピラゴメンのコンコンチキがまかり通るのだ。
いやいや、それは早とちりかもしれない。たとえ異性に興味を持たず、子は作らずとも親しいフレンズ=他者を持ち、住めば都だとばかりに、外国とか近所でも、アッチコッチ歩きまくりながら知らない空気を吸い続けるってどうだろう。そうすると、ナンダカンダと疑問がふつふつとわいてきて、案外いそがしい。
私はあるとき、ポートランドを訪れた際、Bill Willというコンセプチュアルアーティストのオタクを訪問した。そしたら家に入る時に靴を脱がされたのでびっくりした。だって、アメリカって靴のままの暮らしをしている人ばかりだと思っていたからだ。さすがはポートランド。アメリカでは有名な“Keep Weired=変わり者で行こう!”の州なのだ。ついこの前、ドナルド・トランプの命令で州兵が派遣された「誉れ高い州」なのだ。もちろん、他者に迷惑をかけない「変わり者」と「迷惑かけっぱなし」の大統領とは大違いにキマッテル。
Billは鼠取りに星条旗をはさんだり、犬がカミカミする骨の形をしたおもちゃで十字架をつくったり、とおもえば地下鉄の公共の壁に環境問題への意識改革を意識させる作品をずらーっと描いたりする社会派のアーティスト。だから色々と考える人であり、多分だけれど「禅」とかも好きなのかも。そういえば、カリフォルニアやサンフランシスコなど西海岸はモチロン、世界中には、日本的な“モノ・コト”にハマる人もいるはず。そんなひとは「靴を脱ぐ暮らし」を遂行してください。
今、世界はトンデモナイ混乱状態だ。価値観や貧富の差、人種問題や宗教感の違いは、ナショナリズムに転化され、戦争という形で人々に不安と悲しみを次々に生んでいる。「国家」としてではなく「個人」としてのソンザイが保障されるのはいつ来るのだろう。オット、はなしが突然ムズカシクなりそうだが、これはフツーのはなしだ。
私はずーっと土足で暮らしていて“Enough”だ。「ちょうどイイ」のだ。でも“Enough”には「もうたくさん」という意味もある。もちろん平和がちょうど良くて、戦争はもうたくさんに決まってる!
アメリカや西欧の音楽やファッション、デザインなどにド影響を受けているはずの日本国で、靴を履いたままの暮らしをしている人はどれくらいいるのか、統計はない。そこでAIに聞いた。スルッテエト……どうも舘ひろしさんしか出てこないのが摩訶不思議で、多分ひそやかに実行している方もいるにちがいないと思いたいが、どうなんだろう。国家が禁止しているとは聞いたことがないのに、なんか後ろめたいのかしら。長年にわたって何の疑問も後悔もなく「土足暮らし」をしている私と妻さんは何人(なにじん)なのだろうかなどと思うのは“異端”なことだろうか。国家、いや「国民国家」をすこし考えてみる必要があるべきかないべきか。ああ、ギモンって大切だが、面倒この上ない。つまり退屈する暇もないのだ。
プロフィール
武末充敏
たけすえ・みつとし|1949年、福岡県博多区生まれ。70年代にバンド「葡萄畑」を結成し、〈ポリドール・レコード〉よりアルバム発表&東京日暮らし。その後、福岡に戻り『タワーレコードKBC』に勤務。“家具の音楽”を目指し「フラットフェイス」というユニットでMIDIよりレコード発売。バブル崩壊後、何はなくとも我が家があるさ、と自宅にて『organ』 なるインテリアショップをはじめる。現在は福岡在住のデザイナーと“靴のままの生活”を推進する活動ENOUGHや、ZINE作りを試行する。
Official Website
https://organ-online.com/
Instagram
https://www.instagram.com/organ_fukuoka/