TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#1】デトロイトから山梨へ、ミニシアターへの旅
執筆:マシュー・ケルソン
2025年12月10日
こんにちは! 「CineYama(シネヤマ)」のマシュー・ケルソンです。これから4回にわたって、山梨県上野原市に作り始めた小さなシアターについてお届けします。
映画との出会いは大学時代、デトロイトの郊外にある小さなアートハウスシアターの仕事がその始まりでした。映写室に足を踏み入れた瞬間に、その世界に夢中になったのを今でも覚えています。そこからは35ミリフィルムの扱い方を学び、翌週に控えている上映作品のプリント作りに夜な夜な励んだものです。
当時、私はデトロイトのダウンタウンに住んでいました。かつては多くのシネマが賑わっていましたが、いつしか小さい映画館が二つ残っているだけになっていました。スクリーンを通してより広い世界を見たいと思っていた映画好きのために、そういう場所を作りたかった。
廃校になった小学校を見つけ、子ども用の座席がまだ並ぶぼろぼろの講堂を100席のシネマに変身させました。大人用の座席は廃墟と化していた別の劇場から持ってきて、スクリーン、カーテンやプロジェクターも別のところから持ってきました。
そこを私たちはザ・バートン・シアターと名付けました。
ザ・バートン・シアターは寂れた街にポツンと立つ、映画好きにとって小さな安らぎをもたらす場所になりました。デトロイトの旧中華街にあるかつてのインターナショナルスクールも、その地域もほぼ廃墟と化していました。人で賑わっていた街並みは今では暗く閑散とした場所でしたが、映画愛を広めたいと思った仲間たちと一緒に運営するシネマからは、希望の光が溢れていました。
ザ・バートンはデトロイトのフィルムシーンでカルト的な人気を博しました。上映作品によっては単館劇場の興行収入の記録を破るものもあり、ニューヨーク・タイムズに取り上げられたこともありました。『ハウス』から『シャフト』から『食人族』まで、あらゆる作品を上映しました。奇妙だけど美しい組み合わせの映画を、古い校舎で観ることができました。
その体験が大きな冒険のはじまりとなって、いつしか日本に辿り着き、私の旅は「Cine Yama」という小さなシアターへと向かっています。
プロフィール
マシュー・ケルソン
アメリカ・デトロイトで、廃校を利用した100席のアートハウス映画館「バートン・シアター」を共同設立。その後、Netflixに10年以上勤め、オリジナル映画やシリーズのプレミアや特別試写会の技術的な企画・実行を世界各地で担当。現在は妻と2人の子どもと共に山梨の里山に住み、廃園になった幼稚園を「CineYama(シネヤマ)」というミニシアターに作り変えています。日本と世界の映画を紹介する、新しいシネマを作っています。
Instagram
https://www.instagram.com/cineyama
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