ファッション

TPOに合わせた、忙しい編集長の1週間の着こなし。

PARIS/SNAP & SURVEY THE STYLE

2025年1月28日

STYLE SAMPLE ’25


photo: Mari Shimmura
coordination: Masae Takanaka
text: POPEYE
2025年2月 934号初出

 誰が言ったか、毎日同じような格好をしているとその人のスタイルが確立していき、やがてスタイルアイコンになるという説。クリストファー・ニケはまさにそんな人で、雑誌の編集長として毎日違うTPOに合わせて服を選んでいても印象は一貫しているし、だからこそ〝ここぞ〟という場でもスーツ姿が自然だ。実際彼が着るのは、何枚も重ねたシャツ、ベーシックなパンツにエレガントな革靴。レイヤードに欠かせない〈シャルべ〉のシャツは「コットンのポロなんか光沢があってシックになるし、裾の始末も好きなんだ」と相当気に入っている様子で、着用頻度は驚異の週6。それでも退屈じゃないのは、色や素材の組み合わせの妙が効いていて、それが日々異なるから。スタイルの定番を持つことと違いを楽しむことは両立すると、彼を見て思った。

STUDY
2022年に創刊したファッション&カルチャーマガジン。年4回、2024年までに全9号を刊行。クリストファー・ニケがすべて一人で編集を行い、アートディレクションは「Rupert Smyth Studio」が手掛ける。封筒に本誌を入れるスタイルが特徴。2024年10月発売のvol. 8ではDominique Vinantのアーカイブを特集。

オフの日こそ、大事なのは「Study」さ。

Coat – Hermès
Shirt – Charvet
Sweater – Leorosa
Shoes – Edward Green
Bag – L.L.Bean

近所のお気に入りのカフェ『Dreamin Man』にて。コーヒーとケーキと共に、友人とキャッチアップする楽しい時間。こういうときに『Study』のキャップをちゃんとかぶる。抜かりなくてチャーミングな編集長だ。今日の首元は〈レオローザ〉のポロの襟を絶妙に立てて開いた、品がいいスリーレイヤー。

編集作業は愛するカシミヤと愛犬を撫でながら。

Vest – Leorosa
Polo Shirt – Brooks Brothers
Sweater – Charvet
Pants – Bernard Zins
Shoes – L.L.Bean

快適なカシミヤのニットがあれば、家での編集作業もはかどる。フランスの〈ベルナール・ザンス〉のクラシックなパンツはリラックスフィットで。「ビーンブーツは3年前に買ったもの。愛犬のキャンディがかじってくれてさ、そのくらいがちょうどいいんだ。履き込んだヴィンテージに見えるよね」

ドレスアップにもカジュアルもお任せのスーツスタイル。

Coat – The Row
Suit – The Row
Shirt – Charvet
Shoes – Edward Green
Tie – Charvet

編集長の仕事は日が暮れても続く。ビジネスディナーやオープニングパーティに顔を出す際は、シンプルな〈ザ・ロウ〉のスーツを。とっても快適だから、最近好きなビストロ『Le Maquis』へ友人と行くときにも活躍。

ご挨拶が多いときこそ、マイ・フィロソフィーを発揮。

Jacket – Loro Piana
Polo Shirt – Charvet
Shirt – Comme des Garçons
Sweater – John Smedley
Pants – The Row

「寒がりだから長袖のポロシャツやシャツを何枚も重ねるんだ」。それでも決して首元が野暮ったく見えず案外ちゃんとまとまるのは、重なり合う襟の素材感・風合いが違うからか。

外回りが続き、多くの人に会う日こそまさに自分らしいスタイルで。「〈シャルべ〉の茶、〈ギャルソン〉のくすんだ赤、〈ジョン スメドレー〉のニットポロのネイビー。色の珍しい組み合わせを楽しむのが、いつもの僕なのさ」

癒やしを与えてくれる植物とは、いつも品良く向き合う。

Polo Shirt – Lacoste
Shirt – Charvet
Vest – Post O’Alls
Pants – Bernard Zins
Shoes – Alden

ネイビーとグレーのベーシックな色の組み合わせに、グリーンのポロを合わせているのがポイント。ジャケットはNYでパートナーのお父さんからプレゼントしてもらったもので、プライスレス。

家では花を買う担当の彼。よく行く『Moulié』で選んだチューリップを生けて曰く「家で仕事するから、いつでも見える場所に花を飾って癒やされたいんだ」。フロントをちゃんとしめて、襟元だけでタイトにレイヤード。

タフな外ロケに便利な、いつまでも着たいアウターを。

Jacket – used (Barbour)
Polo Shirt – Lacoste
Shirt – Charvet
Pants – Dickies
Shoes – Edward Green

NYに行ったときにパートナーのクローゼットから見つけたビデイル。「襟につけたピンズはマーケットで見つけたものや、パートナーのものをミックスしてるよ」

重ね着しても寒いパリの冬。リサーチや撮影で外を歩くときは〈バブアー〉のヴィンテージのビデイルが必須。「サイズと長さが気に入ってるけどかなりダメージがあって。テープを貼ってパッチワークみたいにしてる(笑)」

好き勝手に組み合わせる、自由気ままな一日さ。

Parka – Loro Piana
Polo Shirt – Charvet
Hoodie – The Row
Pants – Gap
Shoes – Crockett & Jones

アウター、フーディーのオフホワイトのグラデーションには黄色のポロを。にしてもこのシャツの色の多さ。パリジャンなら1枚は持っているという〈シャルべ〉のシャツを、彼は一体。次回はクローゼット取材か!?

近所のパン屋や花屋、本屋に買い物に出かけるときはコンフォータブルに。〈シャルべ〉のポロの着心地の良さに感謝しつつ〈ロロ・ピアーナ〉〈ザロウ〉〈ギャップ〉を共存させるのはクリストファーだからなせる業。

プロフィール

Christopher Niquet

『Study』編集長

クリストファー・ニケ|雑誌『スタディ』編集長。『Holiday Magazine』の編集も手掛ける。10代の頃からパリでモデル、スタイリストとしても活動してきた。『Self Service Magazine』を経て、27歳でNYへ。コロナ期にパリに拠点を戻し『スタディ』を立ち上げる。