TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#2】写真とはなにか?
執筆:アッシャー・ペン(Sex Magazine)
2026年8月21日
大学では写真を専攻していたけど、映画とグラフィックデザインのダブルメジャーにすべきだったと、今では後悔している。写真について知るべきことは見ていればすべて学べると思うけど、その逆は成り立たない。写真はページやウェブサイト、ソーシャルメディアのプラットフォーム、ギャラリーなど、フレームがあることを前提としているからだ。フレームがなければ、写真には何の意味もない。
でも、僕が美術学校にいた頃、写真はとてもクールだった存在だった。Wolfgang Tillmans、Ryan McGinley、Richard Kern、Mark Borthwick、Terry Richardson、Juergen Tellerが第一線で活躍し、スーパーモデルや界隈の人を起用した大規模な広告キャンペーンがオートフォーカスと強いフラッシュで撮影された。写真は雑誌に掲載され、アートギャラリーで展示された。Gregory CrewdsonやJeff Wall、Philip-Lorca DiCorciaのような、大判カメラを使った大学院レベルの写真もあった。僕は学校の図書館で何時間も写真を眺めていれば、何かを学べるんじゃないかと思っていた。
このことを、授業の初日に誰かが教えてくれていたらよかったのにと思うことがある。写真を見るのに最も適したフォーマットは、本だ。そして、撮る対象として最も面白いのは人間。その次に面白いのは、裸の人間だ。カメラは、自分にとって最も簡単で自然に扱えるものを選ぶべきだ。技術的なことが得意じゃないなら、技術的な厳密さを求められるカメラには近づかないほうがいい。テクニカルなことが好きじゃないなら、きっと写真そのものを好きになることはできない。できるだけ早く自分のカメラを理解することはとても重要だ。カメラは写真家の署名のようなもので、もし写真家が自分のスタイルを見つけられなければ、そのキャリアは職人的なものになる。それから、写真はすべてリスクとリターンについてのものだ。他の人には入る勇気のない状況に飛び込む覚悟があるなら、人はあなたの写真を価値あるものだと思ってくれる。自分だけがアクセスできるもの、他の人にはアクセスできないものがあるなら、それを撮るべきだ。何より重要なのは、あなたは常にある時代の、ある瞬間に存在しているということだ。写真の価値は、撮影された瞬間に跳ね上がる。その後いったん下がり、時間とともにゆっくりとまた上がっていく。写真にとって、時間はとても重要ものなのだ。
僕は大学での3年間を、4×5の使い方やプロ用の照明、ヴィンテージのライカレンズ、カラーコレクション、ネガを何十億dpiでスキャンする方法、そして1000ドルもかけて大きな黒い革張りのポートフォリオブックの作り方を習得しようとして、失敗を繰り返し、たくさんの無駄を生み出した。ある授業では、「誰かを撮影することは、その人から主体性を奪うことになる」と教えられた。どういう意味なのかさっぱりわからなかったけれど、それからは静物だけを撮ることに決めた。変な話だったし、時間の無駄でもあった。しかも、僕が卒業した瞬間にFlickrが登場し、もう何の意味も持たないものとなった。その後、誰もが携帯電話の中に搭載された粗末なカメラを持つようになり、独占性は無へと化した。セレブリティの最も面白い瞬間を捉えた写真は、本人たちが自ら撮影したものへと置き換わっていった。
写真について再び考えるようになったのは、Sex Magazineがウェブコンテンツを書籍にする仕事を依頼されたときだった。当時の僕は、実はかなり後悔していた。それまで掲載していたiPhoneの写真が、印刷するとどうしてもきれいに仕上がらなかったからだ。そこでカメラを持ち歩いてポートレートを撮るようになり、自分がそれをすごく好きだということに気づいた。雑誌が紙媒体としてリブートしたときには、11号の表紙用に100 Gecsを撮影した。Paul Schrader、Zia Anger、Gabor Maté、Genesis Evansも撮った。こういうシューティングをしているとき、毎回自分が気を失っているような感覚になった。そこには知的なものなんて何もなかったからだ。今までやった中で、最も直感的なクリエイティブな瞬間だった。
今、僕はバンクーバーに住んでいて、撮るものといえば家族とガールフレンドと犬くらいしかいない。自然を撮ることもできるけれど、撮りたいとは思わないし、どこかへ行くために飛行機に乗りたいとも思わない。姪や甥の誕生日には、カメラを持っていくのを忘れないようにしている。そういう写真は、いつも素晴らしいものになる。
Matt Damhave, 2019
Zia Anger, 2019
Paul Schrader, 2019
Weedslut Fashion Show, 2017
Ed Askew, 2018
China Chalet, 2017
Genesis Evans, 2017
Amalia Ulman, 2018
Galcher Lustwerk, 2018
Gabor Mate, 2019
Sampson, 2025
プロフィール
Asher Penn
アッシャー・ペン|アーティスト、映像作家、編集者。ロードアイランド・スクール・オブ・デザインで写真を学んだ後、ストーニーブルック大学で映画の修士号(MFA)を取得。2012年、オンラインメディア「Sex Magazine」を創刊。ニューヨークを拠点に、アーティストやデザイナー、写真家、音楽家など、ポストインターネット時代を彩る多様なクリエイターへのインタビューを通じて、アートやライフスタイルへの独自の価値観を伝える。2020年からはプリント版もスタート。最新号はIssue #16。
Instagram
https://www.instagram.com/ashermixtapehell/
Official Website
https://www.asherpenn.com/
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