ライフスタイル

私のいえは、東京 山のうえ Vol.8

社本真里の隔週日記: ヨシコさんの天ぷら

2022年5月7日

photo & text: Mari Shamoto
edit: Masaru Tatsuki

セリ・ユキノシタ・コゴミ・山椒。

 ヨシコさんはよく天ぷらをする。揚げ物って油がはねるし、掃除が面倒だから私はできればやりたくないけど、美子さんは、「天ぷらは楽よ」と言って軽快に揚げる。いつも感動するのは、庭に生えているものを片っ端から天ぷらにしてしまうこと。

 庭に自生しているセリ、三つ葉、ユキノシタ、茶の木や 柿の新芽、ドクダミやペパーミントなんかもヨシコさんにかかれば、上等な天ぷらになる。山や畑から山菜がとれるこの季節になると頻度も高くなる。粉と油があれば、あとはそこらへんにあるものでご馳走が作れるのよ! とヨシコさんはよく言っている。それがほんとにご馳走なのだ。

天ぷら出来あがり。
写真をとると言ったら、いつもはない白い紙をお皿に敷いてくれた。

プロフィール

社本真里

しゃもと・まり |  1990年代生まれ、愛知県出身。土木業を営む両親・祖父母のもとに生まれる。名古屋芸術大学卒業後、都内の木造の注文住宅を中心とした設計事務所に勤め、たまたま檜原村の案件担当になったことがきっかけで、翌年に移住。2018年に、山の上に小さな木の家を建てて住んでいる。現在は村内の林業会社に勤め、山の素材の販売や街と森をつなぐきっかけづくりに奮闘している。