ライフスタイル
【#1】シティボーイのための宴会芸入門
2021年11月10日
ぼくは宴会芸を研究している。というと、宴会芸の研究? と思うだろう。そこがポイント。宴会芸は、人類がそこそこの熱量で取り組んできたことなのに、専門的に研究している人は誰もいない。その事実にぼくはグッと来ちゃったんだ。
ぼく自身は、そんなにハードな宴会芸プレイヤーではない。4人以上の飲み会は苦手だし、大人数の飲み会では気楽な仲間と端っこでボソボソ話している方だしね。いわゆる同調圧力みたいなのは苦手だし、理解できない。無駄に裸になったり、安易に西野カナを替え歌したり、ダンスサークル出身者たちがスクールカーストを見せびらかすような芸は、ぼくも大嫌い。盛り上がっているように見えて、みんな眉をひそめてるんだから。
でも、幸いなことに。素朴だけど、勇敢で、その人らしく、心のこもった宴会芸が、場をパッと明るくするシーンは何度も見てきた。その時の空気って、なかなかチルなんじゃないかなって思っている。ちなみに、日本宴会芸学会にはこんな言葉がある。
<世界は宴会場。生きることは宴会芸。>
このコラムでは、ぼくたち日本宴会芸学会が過去の文献を紐解いて収集した宴会芸の中から、今の時代にサラっと着こなせる普段使いの宴会芸を紹介しようと思う。いろいろあった今年。仲間との再会を祝うささやかな宴席で、試してもらえたら嬉しいな。
かさつむり
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明治の昔からバブル期まで、いつの時代の文献にも登場するスタンダードな芸。遅刻の言い訳に、この芸で宴席に入ってくるなんて使われ方も。のろくて、かわいくて、どこか謙虚なカタツムリだから、いつの時代の宴席でも愛されるのかな。アイコニックな芸だから何でもサマになるけど、番傘っぽい傘を使ってみたり、わざわざ白足袋を履いてみたり。トラディショナルにキメてみるのが今の気分。
額の水茶碗
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近頃ぼくたちは時間を使うのがうまくなった。朝起きたら、ラジオを聞きながらランニング。昼にはリモートMTGをしながら料理。夜にはお酒を飲みながら映画を観ながら買い物しながらSNS…。生活は、ながらであふれている。そんなぼくたちにぴったりなのが、明治の文献に登場するこの宴会芸。水をひたひたにいれた茶碗を額に置き、頭を浮かせて、あとはひたすら耐えるだけ。テコの原理もあって、体幹に相当効くのは言うまでもない。明治のシティボーイたちは、先に水をこぼしてしまった方が負け、というゲームとしても楽しんでいたらしい。シティボーイなら、腹にシックスパックを、胸にユーモアを、頭の上には水茶碗を、だね。
お歯黒
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宴会芸って、ついつい気合が入るもの。「これから芸をやります!」と宣言して、注目を集めてから芸に入るパターンがお決まりだ。それはもちろん大事なことなんだけど、大勢の注目を集めるのが苦手なシャイネスのことも、宴会芸はケアできる。大袈裟なことは苦手だけど、宴会芸はしたい、そんな人にぴったりなのがこの芸。話題の合間に味海苔をこっそり仕込んで、ニコっと笑うだけ。万座の注目を集めるんじゃなく、目の前の人だけをちょっと幸せにする。そんな宴会芸がある国に、ぼくらはみんな生きているんだ。
E.T
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良い映画は宴会芸になる。映画を語り合うのはシティボーイのたしなみだけど、同じ映画を観た感動を、芸で分かち合うのは想像以上に楽しい。みんなの記憶に残る名シーンを手持ちの道具で再現すれば、それは立派な宴会芸なんだ。他の文献には『ターミネーター』や『エイリアン』なんかも宴会芸化されていた。『ラ・ラ・ランド』を観ながら、この特徴的な振り付けも宴会芸になるな、なんて妄想するのも楽しい。サブスクのコンテンツも最高だけど、来年は宴会芸に出来るような大ヒット映画が出てきたら良いな。映画館の出口は、宴会場の入り口なのかもね。
プロフィール
マイケル御手洗
Instagram
https://www.instagram.com/enkai.gakkai/
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UC69Br8A65aveM5NdLwe0JqQ
Official Website
https://enkai-gakkai.com/
第74回日本宴会芸学会「マイケル御手洗の宴会芸白熱教室」講義録
https://note.com/enkaigei_gakkai/n/na28f8b82ef45
日本宴会芸学会のオリジナルTシャツ
https://enkaigei.paintory.com/
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