TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】他人の日記、見たいやつ集まれ!

執筆:金子祐輔(日記博物館・館長)

2026年6月28日

日記博物館として日記を集め始めて2年あまり。
現在、数百冊を自宅に保管している。

一人で60年近く書き続けた数十冊にも上る日記もあれば、旅行や闘病など短期間の体験を濃密に綴ったものもある。

今回は所蔵日記の中から、興味深いものを3点ご紹介したい。

<1970年代 大学生・男性>
京都での大学生活を事細かに書いた日記。とにかく女性関係の記述が目立つ。デートの様子などに加え、愛情あふれるポエムを書き連ねたページも多い。交際相手以外の女性とデートを楽しんでいたり、複数の女性と並行して遊んでいたりと「遊び人」の側面が見えて興味深い。当時の異性との出会い方や付き合い方なども、今となっては貴重な資料だ。

<1940年代 中学生・女性>
女子中学生が第二次世界大戦中に綴った日記。当時の「愛国者」らしい内面描写と、工場などでの勤労奉仕の様子が記録されている。写真は昭和20年8月15日。終戦について父親から聞かされ、「涙をどうする事も出来なかった」と書き残している。日記はこの日を境に2週間余り途絶えている。どのような気持ちで空白の2週間を過ごしたのかは、今となっては想像することしかできない。

<1970年代 社会人・女性>
運転に苦戦する様子や、教官とのやり取りなどを記録した「自動車教習所日記」。1日1ページ、運転上達の様子だけでノート2冊が埋められている。普通自動車免許の取得に3か月もかけていることから、かなり苦戦したらしい。観察力が鋭く、表現もコミカルでプロのエッセイを読んでいるよう。1970年代の自動車保有率は約22%だったとのこと。当時の免許取得は、ちょっとした冒険だったのかもしれない。

<挟まっているものも面白い>
日記にはパンフレットや旅行写真、新聞の切り抜きなどが挟まっていることがある。
一番手前は1979年のカリフォルニア・ディズニーランドのパンフレット。当時は1ドル = 約219円だった。

北海道のパンフレットも1970年代のもの。表紙には「道東は森と湖。果てしない荒野。さいはての深い淋しさがある。」と書かれている。旅情をそそられるが、今なら炎上しそうな表現である。

左の新聞切り抜きは、沖縄戦の戦況を伝える新聞記事。戦中の記事のため、勇ましい言葉が並ぶ。

右の新聞切り抜きはアイドル・山口百恵の引退を報じた記事。「山口百恵 もうこれっきり」という見出しには、新聞記者のセンスを感じざるを得ない。

<その他の所蔵日記>
◯架空の王子様に悩みを相談する女子中学生
◯闘病について事細かに書いた女性
◯アメリカ留学記を綴った学生
◯学徒出陣で南方戦線に赴いた日大生
などの日記を所蔵している。

日記博物館のサイトでも紹介しているので、興味のある方はご覧いただけると幸いです。

インフォメーション

金子祐輔

かねこ・ゆうすけ|1988年、群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社を経てビジネスメディアに転じる。本業の傍ら、他人の日記を蒐集する「日記博物館」の館長として活動中。暇さえあればジュンク堂書店と囲碁サロンに行きがち。

Official Website
https://diary-museum.jp/

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