ライフスタイル

シールと幼心/文・上白石萌歌

ひとりがたり Vol.29

2026年2月28日

ひとりがたり


photo & text: Moka Kamishiraishi
illustration: Jun Ando

シール、それは幼い頃からわたしをきらきらと照らしつづけてくれるもの。わたしの心をとらえて離さないもの。

人差し指と親指でそっとつまんで台紙から剥がし、ぺたりと好きな場所に貼り付ける。日記帳の隅っこやリップクリームの蓋、ヘッドホン、鏡、文庫本の裏表紙。たとえそれがどんなに小さなものだとしても、貼った部分は見違えるほど愛おしく、特別な場所になるのだ。
シールはわたしたちのいちばん近くにある魔法だと言っても過言ではない。

2025年11月、わたしに空前のシールブームが到来した。幼い頃は当たり前のようにシールを集め、同じクラスの友達とよく交換していたものだが、大人になってからは手紙の封をするためのもの、まあ持ってたら便利だよね、くらいにいったんシール熱は落ち着いていた。

しかしとある日、わたしは文具屋に並んでいた“ノンタンフレークシール“のかわいさに、胸がつぶれるほどときめいてしまったのだ。大きな流れ星に乗ってニコニコこっちを見ているノンタン、シャボン玉を吹いているノンタン、起きたての寝ぼけ眼のノンタン…。さすがにかわいすぎる。ノンタンは幼い頃絵本をたくさん読んでいたので、ノスタルジーも相まってわたしを殴ってくる。気づいたら全種類握りしめてレジに並んでいた。
この、“ノンタンフレークシール“との出会いが、わたしの第二次シールブームの幕開けとなった。

そこからわたしは、幼心を取り戻したかのように一心不乱にさまざまなシールを集めだした。ノンタンに限らず、たれぱんだやこげぱん、OSAMU GOODS、たまごっちなど、わたしの幼い頃の日々を彩ってくれた心の友たちを中心に、モウレツな勢いで増え続けるシールたち。とうとうシールボックスに収まり切らず、流行りのシール帳に手を出すと、なんとびっくり、シールの方からわたしに歩み寄ってくるようになったのだ。シール帳を持ち歩くことでさまざまな人からシールをもらうようになり、どの文具屋を回っても手に入らなかったシール界のツチノコ、ボンボンドロップシール(飴玉のようにぷっくりと透き通ったシールのこと)もゲットしてしまった。

ものの一ヶ月でパンパンに膨れ上がったわたしのシール帳。ページをめくるたびにシールをくれたあの子の顔が浮かび、なつかしいキャラクターたちに目尻もやわらかく下がる。ここには夢と自由とときめきと愛が詰まっている。開くたびに胸のまんなかにある大きな鈴が、幼い頃と同じ音でりーん、とかわいく鳴るのだ。

シールはいつだってわたしを虹色の気持ちにさせてくれる魔法。これからどれだけ歳を重ねても、心のなかをきらきらした光で満たしていたい。

カバーの「も か」シールは母がくれました

ひとこと
さいきんサブスク解禁されておめでたいのでテーマソングは「ザ⭐️ピ〜ス!」にしました!

上白石的テーマソング:ザ⭐️ピ〜ス!/モーニング娘。

プロフィール

シールと幼心/文・上白石萌歌

上白石萌歌

かみしらいし・もか|2000年生まれ。鹿児島県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリを受賞。12歳でドラマ『分身』(12/WOWOW)にて俳優デビュー。ミュージカル『赤毛のアン』(16)では最年少で主人公を演じた。映画『羊と鋼の森』(18/東宝)で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作にドラマ『義母と娘のブルース』(18/TBS)、『教場Ⅱ』(21/フジテレビ)、『警視庁アウトサイダー』(23/テレビ朝日)、『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(23/TBS)、『パリピ孔明』(23/フジテレビ)、『滅相も無い』(24/MBS)、『イグナイト –法の無法者–』(25/TBS)、映画『366日』(25/松竹)、『ロマンティック・キラー』(25/東宝)など。主演ドラマ『パンダより恋が苦手な私たち』(NTV)が現在放送中。adieu名義で歌手活動も行う。

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